第110話

いつもと違うのは、今日の君はお客さんじゃないってこと。


私はコーヒーをご馳走するために、キッチンに回り込んでお湯を沸かした。




コンロの火に目をとめてさっきの光景を思い出す。




海辺で、夕日に照らされた君の横顔がとても綺麗だった。






意識が変わると見え方も変わる。




あんなにも最低で最悪だと思っていた君に対して、こんな風に思うなんて。


数ヶ月前の私には思いもよらなかったな。




そんな変化に戸惑いはあるけど、断然楽しみの方が大きい。




私もだいぶ変わったものだと感慨に耽りながら、いつもの席に落ち着く君の前にカップを置いた。


君はサンキュと小さく言ってから手に取った。




「何これ、うまい」




一口飲むなり、少し驚いた顔をして声をあげた。




そりゃそうでしょ。


高かったんだよ、それ。




私はしたり顔でこっそり笑った。


すかさずもう一口味わうようすが嬉しい。

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