第109話

帰り道はもうほとんど夜だった。




結構な時間海にいたけど、特に話し込んでた訳でも、何かしてた訳でもない。


気がついたらこんなに暗くなっていた。




ぽつぽつと灯り始める街灯が海岸通りの小道を彩っていく。




お店が見えるところまで戻って来ると、洋食屋さんの奥さんが外に置かれたイーゼルを運んでいるのが見えた。




すぐにご主人が出てきてそれを受けとると、外灯のそばにそれを置く。


その間に奥さんは店内に戻って、薄いカーテンをふわりと引いて窓にかけた。




レースのカーテンの隙間から、電球色に統一された暖かみのある店内が覗く。


最後に外壁についた看板に明かりが灯れば、洋食屋さんはあっという間に夜のディスプレイに生まれ変わった。




私も自分のお店のドアを開けて電気をつける。




ほわっと明るくなった店内に、君を迎え入れた。

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