第87話

「いいのよぅ」




奥さんは手をひらひら振って、またにっこりと笑った。


すっごく年上だけど可愛らしい。




おっとりした雰囲気の可愛いひと。


それが私が奥さんに持った第一印象だったなと、ふと思い出した。




でも、実はかなりしっかりしていて、見た目がちょっと強面の旦那さんがこの奥さんには決して逆らえないんだって知ったときは、かなりびっくりしたっけ。




そういえば知佳さんが、旦那さんは若い頃は単車を転がしていたらしいって言ってたな。


そして、良いお家のお嬢さんだった奥さんを拐ってきたとか……。




本当かな。




自分の店に帰っていく奥さんを見送っていると、洋食屋さんのドアが開いて旦那さんが出てきた。




すかさず大荷物を受け取っている姿が甲斐甲斐しい。


ラブラブだ。




奥さんがまず中に入ってから、続いて旦那さんの大きな巨体が小さなドアに吸い込まれるように消えた。




いつか、ふたりのなれそめとか聞いてみたいな。




ドアの札をOPENに変えて、私も店内に戻った。

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