第85話

家を手に入れてちょっとゆとりが生まれたからかな。




それは良いことだと思いたいけど、それもなんだか癪で、大きな溜め息が勝手に零れた。




いつしか、棚に当たり前に並ぶインスタントコーヒー。


そこに、また新しい瓶をとんと置く。




私にはコーヒーの味はわからないけど、店員さんに美味しいと勧められて買ってしまった。




私は相当人がいいらしい。


……いや、惚れた弱味か。




自分自身に呆れながら、開店準備のために外に出た。




今日は良い天気。


きっと梅雨明けもすぐだと思う。




私は目を細めて空を眺めてから、お店の前の道路を箒で掃いた。

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