第72話

用件を聞いてみると、彼女は言いにくそうにちらっと視線をそらした。




その先にいるのは、君。




「彼に用事が」




そう言う彼女。


なのに。




……。


ちょっと、なんでまだ本読んでるの。




彼女とふたりして視線を君に送ってるのに、君は一向に振り替えるそぶりも見せない。




まさか本が面白すぎて気付いてないの?


そんなに熱中しちゃった?




なんてちょっと思ったりもしたけど。




いやいやまさか。


そんなバカな。




私は居た堪れなくなって、取りあえず彼女に席をすすめた。




「よかったらお席へどうぞ」

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