第59話

そんな風に至福の時を過ごしていると、




コンコン、




階下からドアをノックする音が聞こえた。




今度は耳をぴくっと動かして階段の方を見つめるソラ。




私は雑誌を閉じてテーブルに置くと、ゆっくりとソファから立ち上がった。






うちではピンポーンなんて鳴らない。




そんなもの必要ないと思ったから、あえて付けなかった。




だから、うちを訪ねてくる人は結果的にみんなノック。




わざわざ叩いてもらうのは少し申し訳なく思うけど、小さい家だから私にはそれで充分なんだ。




ごめんなさいと心のなかで軽く謝ってみた。


インターホンを設置する予定はありません、って。

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