第51話

「……こっそり応援してます」




私は返す言葉に悩んでから、それだけ小声で伝えた。




狭い店内だから、君にも聞こえちゃってるだろうけど。


言わずにはいれなかった。




「ははっ。サンキュ」




カズさんは嬉しそうに笑う。


ちらりと覗いた白い歯が眩しかった。




それから間もなく、カズさんも自分のお店に帰っていった。






また店内は君とふたりだけ。


ラジオからは、今は歌は流れていなかった。




私は氷だけ残されたグラスを静かに片付ける。




「なかなかうまくはいかないんですね」




私はカズさんと知佳さんのことを考えて呟いた。


お似合いだと思うんだけどな、なんてしつこく思い続けながら。

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