第34話

いつもささやかに流しているラジオから、古い映画の主題歌が流れ出した。




とっても懐かしくて、ちょっと切ないそのメロディ。




これは何ていうタイトルだったっけと気になるけど、なかなか思い出せなかった。




お客さんが途切れていたから、私は記憶を巡らせて考える。




なんだったかな。


なんだっけな。


って。




手元はちゃんとお皿を洗ってるから、頭だけフル回転。


サボってません。




かちゃかちゃと触れ合う食器の音に混ざって届くラジオの音が、私の脳内を駆け巡った。




でもどんなに考えても、やっぱり駄目。


曲が終わり次のコーナーになってしまって、私は観念して諦めた。




「……残念」




ちょっとがっかりしながらお皿を棚に片付ける。


それが終わると、私は仕入れたばかりの茶葉を開けた。

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