第23話

そして呆然とする私よりも先に、もう一度繰り返された言葉は、




「コーヒー」




だった。




……。




こいつ……。




おっと、いけないいけない。


あまりに話の通じないようすに、プツリといきそうになってしまった。




しっかりしろ、私。


どんなひとでもお客さんはお客さんで、私はこのお店の主人なんだった。




なんとか顔をつくって私も営業スマイルを繰り出した。




内心はまるで嵐のようだけど。




お互いににこにこと笑いあう。


端から見たら和やかに見えるかもしれないけど、実際は氷点下の空気の中で。




そのまま数分間の沈黙が過ぎた。

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