第48話
……
俺はそれを受けとることはもちろん、返事もせずにただ見つめていた。
っていうか、それしかできなかった。
どうしよう…
と、
ずっと黙って俺の反応を待っていたその子は、突然、
「明日また来るから」
「え?」
「じゃあ」
すっと入部届けを鞄にしまうと、そのまま簡単に帰ってしまった。
え、いいのか?
入部したかったんだよな?
なんで、明日またなんだ?
俺は呆然とその子の後ろ姿を見送った。
いや助かったけど。
俺は自分でどうしたらいいのか、最早わからなくなっていたから。
明日、またか…
「変わったやつだったな」
「うん」
お前もだけどな。
そう言いそうになって、やめた。
それは秘密にしておこう。
怖いから。
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