第47話

というか、延々と砲丸投げの素晴らしさを力説された。




変なやつ。


けど悪いやつじゃなさそうだな。




尽きることなく熱く語る姿は好感さえ持った。


砲丸投げが好きなのが、やってみたいって本気で思ってるのが、ものすごく伝わってくるから。




「ねぇ」




話に熱中していると、また声をかけられた。


今日も客が多いな。




声のした方へ視線を向けると、そこには小柄な女子がいた。


腰まで伸ばした綺麗な黒髪が、微かな風に揺れている。




今まで饒舌に語られていた隣からの声が、パタリとやんでいた。




うん、わかるぞ。


この女子めちゃくちゃ可愛いもんな。


俺は口を開けたまま固まる隣に向かって笑いそうになるのを堪えながら、返事を返した。




「なに?」




するとその子は、




「これ」




ひらりと一枚の紙を差し出した。




どきり。


心臓が鳴った。




「入部したいの」




それは最近では見慣れてしまった入部届けだった。

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