第44話

なんだかな。




「…ごめん」




俺はそれだけ言って入部届けを受けとるとこなくその場を去った。


取り残されたふたりが何か言ったけど、脱兎のごとく逃げたお陰で聞こえなかった。




「はぁ~…」




なんなんだよ、もう。


どっと疲れた。




割り当てられたばかりの部室まで辿り着いたけど、中にはいる前に気力が尽きて、ドアに背中を預けてずるずると座り込んだ。




別に部活を独り占めしたくて入部希望者を断ってる訳じゃない。




ただ、昔を思い出してつい拒否してしまうんだ。




俺のやっとみつけた居場所。


走るための場所。




頼むから奪わないでくれ。


壊さないでくれ。




お願いします。




願うのはそれだけだから。

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