第34話

でも、




「別に部員はいらないです。俺が走りたいだけなんで」




全開の笑顔のままそう応えた。


すると、




「……」




なぜか真顔の先生に見つめられた。


なんだろう。




でも結局なにも言わずに、また書類に視線を落とす。


カリカリとペンが用紙を引っ掻く音がした。




部員がいらないって言ったからかな。


孤独を愛する可哀想なやつと思われたとか?




うわ。


孤独を愛するってなんだ。


自分で言っててキモくなった。




ひとりが好きとか、


別にそういう訳じゃない。




理由は単純。


一言で言うと、ただめんどくさいだけだったりする。




クラスには友達だって一杯いるし、あえて部員が欲しいとも思わなかった。




それに、“仲間”には苦い思い出があったりもする。

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