第19話

走るのは楽しい。




先生のジョギングに付き合ってはじめて知った。






また更にわかったのは、






もっと、




もっと、速く走りたい。






そんな衝動の存在だった。






先生を追い抜いた瞬間、肌が粟立つような感覚がした。




スピードをあげるほど強くぶつかってくる風をきって、前へ前へと脚を投げ出していく。




速く。


速く。


もっと動け。




もつれそうになる脚を、それでも遠くへ踏み出した。




「はぁっ、はぁっ、っく、……はぁっ、」




ついに限界がやって来て、膝に手をついて息を整える。


乱れた息のまま後ろを振り返ってみたけど、先生は見えなかった。




だいぶ差を離していたみたいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る