第15話

しばらく先生の後ろを走っていると、




「どうだ?」




振り返らずに先生が聞いた。




「どうって?」




なにがどうなんだよ?


俺は首を傾げつつ言葉を返す。




「なんも感じねぇのか?」


「え?」




なにも感じない?




そんな訳ない。


息は苦しいし、脚は重いし、身体は熱いし、汗は気持ち悪い。




そう言いそうになって、でもなぜか言葉にならなかった。




先生は無言で俺の言葉を待ってる。




いや、待ってるのか?


もうどうでもよさそうにも見える。




今俺に投げ掛けた質問なんてもう忘れたとばかりに、軽やかに前へ前へ足を運んでいく。




なんだよ、自分から聞いといて。


俺は乱れる呼吸の合間に小さい溜め息を吐いた。




でも、




「……」




俺は走りながら考えた。




だって、知りたかったら。


なにがそんなに先生を惹き付けてるのか。

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