時空の扉: 遥かなる日の国へ
三分堂 旅人(さんぶんどう たびと)
第1篇: 遥かなる旅路(前編)
▢▢▢ 謎の遺跡発掘 ▢▢▢
真夏を思わせる
傍らで作業を続ける
光輝は詩織の声に、手元の土を見つめ直した。幾重にも重なる地層の断面に、確かな違和感が潜んでいる。「ここの色の変化、まるで…」言葉を探しながら、彼は慎重に筆を走らせた。
「まるで、何かを隠すように積み重ねられているみたいね」
詩織の眼差しが、光輝の手元を追う。環境考古学という新しい領域を切り開いてきた彼女の直感は、いつも鋭かった。
光輝の脳裏に、祖父の最期の言葉が
二人で慎重に土を取り除いていくと、次第にその輪郭が姿を現した。青銅とも水晶ともつかない、不思議な光沢を放つ物体。表面には幾何学模様が
「これは…」
光輝の声が途切れた瞬間、結晶が
▢▢▢ 「時空の鍵」との遭遇 ▢▢▢
それは親友の
デバイスから現れたのは、子供のような愛らしい姿のホログラム。半透明の青い光を
「解析を開始するね!」ホログラムの瞳が青く輝く。「えっと、私は知能統合システム・タカミムスヒ。遺物の調査をサポートするために、零士さんが開発したAIだよ」
「タカミムスヒ...」詩織が首を傾げる。「ちょっと呼びづらいわね。タカミンって呼んでもいい?」
「わぁ!」ホログラムは嬉しそうに宙返りした。「それ、すっごく可愛い!気に入った!」
光輝は思わず笑みを浮かべた。「じゃあ、タカミン。この遺物について何か分かるかい?」
「うん!」タカミンは真剣な表情に戻り、遺物の周りを飛び回りながら青いスキャン光線を放つ。「これはすごいよ!とても古いけど、まだ活性反応がある。未来と過去をつなぐエネルギーパターンを検出!通常の遺物とは全く異なる時空間波動を感知しています」
データ解析に没頭するタカミンの姿を見て、詩織は小さく微笑んだ。「意外と真面目なのね」
「科学的な解析は得意分野なんです!」タカミンは得意げに胸を張る。「でも、この遺物からの反応は、既存のどのパターンとも一致しない。まるで...」
その言葉が途切れた瞬間、遺物が強い光を放ち始めた。地面に不思議な模様が浮かび上がり、光輝と詩織の足元を、渦を巻くような光の帯が取り囲んでいく。
「詩織!」
光輝が
▢▢▢ 未知との遭遇 ▢▢▢
目覚めた瞬間、二人の息が止まった。
眼前に広がる世界は、あまりにも鮮やかすぎた。
空は、かつて見たこともないほどの深い青。地平の果てまで伸びる原生林は、
「まるで、夢を見ているみたい…」
詩織の囁きが、澄んだ空気に溶けていく。
光輝は無言で地面に手を伸ばした。土の感触が、確かな現実を告げている。彼の指先が何かに触れる。「これを見て」
土に埋もれた石器を取り出しながら、光輝の声が震えた。「間違いない。旧石器時代の技法だ」
青く輝きながらタカミンが浮遊する。「計測データ、異常なしです!でも、信じられないよ...この大気組成、放射線量、すべてが約3万年前の値と一致してる!」
「私たち、本当に過去にきてしまったのね…」
詩織の声には、不安と興奮が混じっていた。
▢▢▢ 次回予告 ▢▢▢
遥か古代へと導かれた光輝と詩織。
そこで出会う移動民族との緊張の対面、
そして待ち受ける予期せぬ試練——。
次回、「遥かなる旅路(中編)」、さらなる謎が彼らを待ち受ける!
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