タンポポと雑草

@na2a8me

第1話 あの子

夏。 嫌いだった。

毎日泣き続ける蝉の声も、毎日汗をかきながら登校する学校も。


あの子を見るたびに思う。

なんで神様は平等にしなかったんだろうって。


春夏秋冬問わずあの子は嫌いだった。

嫌いなつもりだった。でも実際、私も嫌いになれなかった。

元カレも友達もみんなミツバチみたいにあの子に吸い寄せられていったのに。

私も実際は群がるミツバチだった。

嫌いになれなった。自分を殺してしまいたいと思うほどに。



「杏子(あんず)、今日一緒に帰れる?」


「あーごめん璃花(りりか)。今日も居残りするね。」


こんなに勉強ばっか優先しちゃってていいのかって思っちゃうよ。

どれだけしたってあの子には勝てないのに。


「咲良ー!」 「咲良さーん」 


放課後になればこんな声が飛び交うのも慣れたもんだな。

璃花も私が無理だったらあの子に群がる集団の一人。

成績優秀。弓道部のエースをしながら生徒会長。

人柄も顔もいいなんて。羨ましいよほんと。


「ごめんねみんな。今日は少し作業があるから。」


その笑顔さえ太陽みたいで。ずっと憧れだよ。



「杏子さんは毎日居残りして勉強してるの?」


みんなが帰った後に言われた。誰を超えたくてやっているかわかっているのに。


「そうだよ。」


「あーまたそっけない!毎日話しかけてるんだからちょっとくらい

 話続けてくれてもよくないですかー」


「無視してないだけいいと思ってよ。」


一年の時からずっと遠い存在だったあの子が二年になって同じクラスになって。

うれしかったよ。けど勝負に情を含みたくないから。


「今度の期末も勝つからね!」


「次は勝つから。」


またこうして話そうね。咲良さん。

もうこうして居残りはしないけれど。

ちゃんと勝ちにいくから。


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