②オイディプス王


 先ず初めに。このページを R7513-0519 までの間に読まれた皆様へ。

 大変申し訳ございません。

 更新日を丸々一週間勘違いしておりました。

 と言うわけで、正気に戻りて再開します。



 第二回「オイディプス王」


 「理路整然にトチ狂う教科書」


 古来ギリシアの悲劇に於いても、傑作とされる一作。

 自信満々な王様オイディプスが、一人の人間オイディプスとして墜ちるお話。


 物語としては短い。何ならそもそも小説じゃない。劇の脚本。ソレが文章としてここまで強いんだから、現代の物書きとしてはどうしようも無い。助けてクレメンス。


 脚本なので描写が殆ど無い。全編通じてセリフ、および旋舞歌と呼ばれる挿入詞で進行する。

 コレが結構 面白いし、役に立つ。学びになる。小説という枠から離れたからこそ挽き立つ、文学の技法が抽出できる。


 あらすじを語る論評なんて大嫌いだ。

 なのでこのページでは、その学びを、このトチ狂い先生のご教示を離そうと思う。。

 


 一つ、スポットライト。

 本作。コレがメチャクチャ分かりやすい。理由もメチャクチャ分かりやすい。

 何で?、少ないから。キャラと情報、コイツらが。

 本作は基本、場面が変わらない。キャラも二人しか居ない。出てくる人物が二人というワケではない。場面に映るのが二人なのだ。


 話す人。ト、答える人。こんだけ。


 こんだけ。ホントにコンだけ。稀に語りかけるシーンがあるのだが、(※妃の弟クレオンが、王の従者達に問いかける場面など)其れらが割って入ってくることは決して無い。あくまで背景に徹する。


 素晴らしい。なんと明朗なことか。

 是非義務教育にすべきだ。この世から消え去ることだろう。ヒロインの食事中、突然 設定や作者の人生論なんかを語り出す喫茶店のマスターと言うヤツは。本当に、誰なんだオマエらは。どっから出てきた。


 怨嗟もほどほどに。

 本作はとにかく、ものすごく分かりやすい。

 今、重要なのは誰か。今、変革をもたらすのは誰か。コレが常に解る。劇は脳内でいくらでも開演する。

 古代ギリシアとかいう、ありとあらゆる固有名詞が旧約聖書より眠くなる背景にもかかわらず、恐ろしいほど鮮明。克明なのだ。。



 二つ目。必然性。


 何度も繰り返すが、本作は悲劇だ。

 何度も繰り返しといて悪いが、ここでいう悲劇とは、世間一般の悲劇とはチョイト違う。

 詳しくは「詩論」なんかで良いのだが、ここで言う悲劇とは、日常たる叙述の逆、必然の積み重ねによる物語を言う。

 難しい?、当たり前だ。大変申し訳ない。情けない話、作者もよく分かっていないのだから。

 生えかけの乳歯で一応噛み砕くと、「偶然の逆」ヲいく作品。ソレが悲劇だ。


 なぜ国は苦しい?

 なぜ彼は知っている?

 なぜ私は王になる?

 なぜ、私は破滅する?


 ……ここに、偶然たまたま、が合ってはいけないのだ。そう、Because が要るのだ。


 実際、拙作を含めてつまらない作品の多くと言うヤツは、偶然が多い。なんでもかんでもゾ○リせんせとイノシシたちが、おならで総てを吹き飛ばしてしまう。ツイッターでやればいいことに数千文字費やしてる。バカだ、本当に。我ながら。何がしたいんだろうか。


 本作は違う。文学とは何か。物語とは何か。丁寧に丁寧に組み立て、破壊する事なくおかしなものを創る。ソレを教えてくれるのだ。。



 「理路整然にトチ狂う教科書」


 そう思った。

 万能薬でもよかったかもしれない。しかし別に効いてない。役立たずの脳みそを持った作者は今も、何の価値も無い駄作をひり出すのに苦悶している。


 誰がどうなるか。


 コレをどこまでも分かりやすく、どこまでもソレっぽく。そして、意味不明な方向へ逆転させる。


 私もいつか、書けるようになりたいものである。。。

 

――――――――――――――――――

思ったより読まれていて嬉しいです。感想や評価、質問には応えます。相互がどうしたとかは知りません。もう疲れました。


作品について

必読書 150 の作品が殆どです。偶に脱線します。


※次回予告。樋口一葉「にごりえ」


 

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読んだ本の話 ねんねゆきよ @NENE_tenpura

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