珈琲

「すみません、喉が渇いたので珈琲を持ってきます。」

「コーヒー、俺らの分もくれないか?」

「もちろんですよ、元々そのつもりでしたし」

「ありがとな」


「すみません遅れましたね、話します」


私って珈琲の豆を常備するほど珈琲が好きじゃないですか。

この話は新しい珈琲を探してた時に仲良くなった、友人の話なんですよ。

その友人はしばらく海外暮らしをていて、たまにその時の話を聞かせてくれるんですが、怪談話もあってですね、前々から共有したいとは思っていたんですよ。


その友人は、地元で少し有名な心霊スポットに行ったらしいんです。

なんでもその心霊スポットというのが、代々珈琲豆を生産していた一族の家なんですよ。

珈琲にハマっていた友人は車で少し遠出をしていたついでにそこに寄ったらしいんですよ。

パット見全然まだ人が住んでいそうな、緑色の屋根の二階建ての家だったそうです。

友人は庭の窓が割れていることに気づき、車の奥にあったライトを頼りに進んだんです。

まるでここが心霊スポットとは思えないほど綺麗な場所だったらしいですよ。

その割には庭の窓が割れていたりしますけど。

ササッと一階と二階の探索を終えまして、さぁ帰ろうかという時です。

友人は見慣れない珈琲豆の袋があったんです。

気になって、悪いことをしてるな、とは思いながらも持ち帰ってしまいました。

その豆を挽いているとき普段はコリコリというか、ゴリゴリというか、そんな音が鳴るんですけど、その日はかん高い音が聞こえてきたそうです。

その友人は、珈琲を挽き終わって飲みました。

飲んだ瞬間吐きだすと思ったらしいですよ。

五代味覚ってありますよね、あの味や塩辛さなどがものすごいスピードでコロコロ変わっていったらしいですよ。

しかし不思議と心地よかったそうです。

飲み干さないのはもったいないと感じ、一気に飲み干そうとしたんですが、何かが喉に詰まって思いっきり吐き出したんです。

するとどんどん珈琲がまるでゼリーのように固まっていって、とても美味しそうに見えたそうです。

ここからはたまたま遊びに来ていた共通の友人の証言になるんですが、床に落ちていた髪の毛と目玉をジーと見つめていると思ったら、急に貪り食いだして、掴みかかって止めたそうです。

その友人は今でもあの時の味を追い求めてますよ。


「すまないけど珈琲飲む気失せたわ」

「俺も」

「僕も」

「右に同じく」

「かまいませんよ後で捨てておきますね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る