第7話

オレンジ色の灯りが薄く照らす店内には、おしゃれなジャズが流れていて。



ゆったりとした空間が広がるこの場所で、お酒を楽しむ時間は、心地が良い。



私は今日も、カクテルを片手にのんびりと湊の仕事が終わるのを待つ。



バーテンダーとしてカウンターに立つ湊はいつもより何割にも増してかっこいい。



だから、女性客の注目の的になることも珍しくない。



ヒナタはよくお客さんに話しかけるタイプだけど、湊は真逆。



お客さんから話しかけないと会話することはほぼ不可能ということだ。



だけど…話しかける人は滅多に居なくて。



皆、遠目から羨望の眼差しで見ているくらい。



淡々と仕事をこなす様があれだけ絵になる人も、なかなか居ないと思う。



湊と会話をしなくても、別に見ているだけで満たされるというか…そんな感じ、かな。



ヒナタは逆で、会話で盛り上げてくれるタイプだから誰かと話して飲みたい人に人気。



前はリョウも話し相手になっていたけれど、その分のお客さんのほとんどがヒナタに流れたから。



より一層…女心を掴まなきゃという思いがヒナタにもあるのだろう、きっと。

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