第4話

「翠さん、次は大学で会いましょうね!」



「うん、入学式楽しんでね。」



数日後に入学式を控えた蓮花ちゃんは、大学が始まるまでの間に、身体を休めた方がいいだろう、という湊の気遣いで。



少しの間バイトはお休み。



同じ大学に通うことになる蓮花ちゃんと、キャンパス内で会えるようになるのが楽しみだ。



お店に迎えに来てくれた龍さんの車に乗って、去っていく蓮花ちゃんを湊と二人で見送る。



「バーの開店まで少し休憩するか。」



「そうだね、ちょっとお腹すいちゃった…。」



「じゃあ、何か軽食作ってあげるよ。」



「ありがと、じゃあ湊お手製のサンドイッチが食べたい!」



「りょーかい。」



料理上手な湊は、カフェでもバーでもキッチン担当。



でも、バーテンダーが湊を含め2人しか居ないから最近はカウンターに出てくることもしばしば。



前に居たリョウというバーテンダーが亡くなってからは、新しい従業員を雇うこともせず何とかお店を回している。



お客さんが居なくなった店は静まり返っていて。



カウンターに座って、湊が料理するのをぼんやりと眺める。



「そうだ、新しい部屋の資料見た?」



「うん、見た。どれも良いとこだね。」



「引越しは夏休みかな〜。」



「だね、それまでに軽く断捨離しておかないと…。」



「引越しはヒナタ呼んで手伝わせるか。」



休日にもオーナーにこき使われるヒナタ…どんまい。

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