第17話 孤独な闘い
「あの、少しお時間いただけます?」
「え? まあ、はい。構いませんけども」
会話を途中で止めると、距離をとって考えることにした。
ヤバイヤバイ。これは絶対にヤバイやつだ。
こいつら四人ともアーリア教の僧侶じゃねえの?
冒険者登録もキチッとしてやがるし。
そうか、だから街道からそれても平気だったんだ。
冒険者として活動しながらも、巡礼として旅にでた。
つまりだ。
アンデッド特効が四人。
対する俺はアンデッド最下層のゾンビ。
ヤバイ。これは本格的にヤバイ。
幸い、まだアンデッドだとバレたわけじゃない。
そりゃそうだ。
こんな流暢に話すゾンビなんかいねえもの。
腐ってもいないし。
普通にしてりゃあいいんだ。
大丈夫。このままやり過ごせるさ。
いきなり酒場のマスターに送りの言葉なんか浴びせてこないはずだ。
チラリと四人組を見た。
なにかヒソヒソと話し合っている。
……ダメかも。
でも、なんでバレたんだ?
僧侶って神に仕えているだけあって、アンデッドを見分ける能力みたいなもんがあんのか?
いや、「アンタ失礼でしょ」「そんなこと言ったって」みたいな話し合いが繰り広げられているのかもしれん。
いくらなんでも、見てすぐアンデッドだって分かるはずもない。
アンデッドになった俺自身が分からなかったんだ。こいつらにだって分かるもんか。
きっとそうだ。デキの悪い末っ子の妄想を、みなでたしなめているんだ。
そうだ! 金属板!
あれを見れば分かるかも!
謎の空間から金属板を取り出した。
そして、MAPの部分に触れてみる。
たしか、白い点が俺だったよな。
んで、客は青で赤だったら敵対と。
確認する。
白い点のそばに四つの点がある。
そのうち青が二つで赤が二つだった。
意見割れとるやんけ!
誰だ赤は!
一個はあのソシラと呼ばれた女だ。それは間違いない。
もう一個は誰だ!? 色の並びを見るとあいつか?
となりのオカッパ女。
クソッ、末っ子に影響されやがって。ちゃんと自分を持て、自分を!
どうする? どうする?
会話で怪しい者じゃないってアピールするか?
あ、ダメだ。
赤が一個増えた。くそう! 誰だか知らねえが言い負かされやがって。
末っ子に負けてんじゃねえよ!!
「あの~、店員さん?」
その末っ子ソシラが呼びかけてきた。
ヤバイ! 聞いて確かめた方が早いじゃん、みたいな空気を感じる!
「店員ではなく元店員です。もうちょっと待っててください」
おい! どうすんだよ!!
どうすればいいんだよ!!!
この最後の青が赤になった瞬間、俺は終わる。
そうヒシヒシと感じる。冒険者の勘がそう言っている!!!
考えろ考えろ。
なにか手はないか?
逃げるか? 逃げちまうか?
でも逃げ切れるか? このゾンビの足で。
いやムリだ。そもそも俺はここから出られない。
すぐつかまって浄化されちまう。
くそう、せっかくチャンスが見えてきたのに、ここまで来て俺はゾンビとして天に召されるのか。
「お~い、店員さんてば!」
「だから、待って! いま考え事してるの!!」
死んですぐは、俺には送りの言葉がなかったのかと嘆いていた。
でも、今は送りの言葉をどうやって回避するか悩んでいる。
なんだよこれ!
なんなんだよ!!
クソ! まだだ。俺は諦めねえ。
まだ神のもとに昇るつもりはねえんだよ!!!
……ん?
あれ?
神のもとに昇る?
このワード最近聞いたな。
どこだっけ?
「そうだ!!!」
大声が出た。
四人組の肩がビックリして揺れていたが、そんなことはどうでもいい!!
金属板のスキルを押す。
あった『昇天しない』だ。これに違いない!!
押す。押す。押す。
連打だ。連打。
”購入しますか?”
”この操作は取り消せません”
とか出てきやがる。
うるせえ! 俺は急いでるんだよ!!
さらに連打。
無事取得した。
「よ~し、よし、よし」
ガッツポーズをとる。
四人組は怪訝な顔で俺を見ていたが、もう大丈夫だ。
これで、送りの言葉に、俺は負けない!!
「お待たせしました。ご注文は?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます