夢の中へ
夢の中へ遊びに行こうというお誘いがあったので
チケット代はいくらか聞いた
出せない金額ではなかったので了承し、
バックパックに荷物を詰める
持ち物は特に必要ないと聞いていたけれど、
目薬とリップクリームはないと落ち着かない
財布と携帯もついでに連れて行こう
現金を持っていないと、有事の際に困ることになる
何事も備えるに越したことはない
最近買ったカメラもいれたらバックはいっぱいになった
待ち合わせ場所に着いて、
ツレのほうが荷物が多かったのでまた心配になった
必要十分を満たすかどうか何度もバックを検めた
ゲートは眠たそうな人でごった返していて、
倒れるように入っていく人もちらほら見られる
チケットは肌身離さず持っている
料金も支払い済みで、抜かりない
慣れた手つきで手続きは済む
受付の係の人の顔がなかった
あっという間に夢の中
夢にまで見た夢の中だ
いなくなった人ばかりがキャストをやってる
夢の中へ誘うかのような音楽が流れて
眼で見るすべてが信用ならない
自分の望むところでは決してないけれど
根拠のない奇妙な多幸感に襲われる
ソフトクリームはいつにもまして美味しい
夢の中はいつしか観光地化していて
僕の願いの掃き溜めになっている
目が回るようなアトラクションは特になくて
ただ漫然と幸福が続いていくような
西へ消えた誰それもここでは幸せに生きているし
東からは旧来の友人がやってくる
あっという間に朝がやってきて、
名残惜しく思いながら、夢の中を後にする
もう二度と出会えぬように思われるけれど、
それが毎日のことなのだから、今更の話だろう
家に帰り着いて、醒めやらぬままに日記を書く
夢日記を書いているわずかな時間は、まだ夢の中にいられるように感じる
少しでも夢に近づけるように、朝の支度をする
鏡には、代り映えしない自分の顔がうつっている
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