いつもの十二月の話

十二月が絡みつく

最近失言が多いのは十二月の所為である

この世の全ての責任は、十二月に帰結する

今日が妙に凍えて見えるのも

新幹線の時間に遅れそうなのも


全部全部十二月の所為だ

十二月を許してはいけない

プラカードにそんなことを書いて

ただ練り歩くほどの元気はなく、公園のベンチで座って過ごした


二〇〇〇の意思決定機構を持つ僕は、いつも引き裂かれそうだ

数多の意思が体を蝕んで、統率力を試す

なんとかかんとか、一人ひとりに向き合って

お悩み相談室を開いたり指示を飛ばしてみたりするが

一向に効果は上がらない

むしろ悪化までしているように思えて

数年前に報告が上がったような問題が

またあらためて報告されているのをみて、

何の進歩もないことに辟易してしまう


報告書に目を通すと、また同じ失敗によって問題は引き起こされている

意思決定は二〇〇〇の僕の合意であって

彼らみな意志薄弱なくせに己が主張を並べ立て、己の無実を騒いで見せる

ある時は、心根がやられていたのだろう、妙に卑屈な日もあった

二〇〇〇も意志があるというのに、肝心の時には役に立たず、

いつも通りをなぞってしまっている


組織構成がよくないのか

ただ、ストライキはまだ起きていない

奥底の気持ちはみな同じ様相だからだ

統率を取る僕も、有事の際には彼らの言い分をまともに聞けていない

彼らとて、責任転嫁をするなといいたいのだろう

責任を取るのがお前の仕事だと宣うのだろう


他に行く先がないからここにいる

空から垂れた数本の糸を、決してちぎれないように

撫でるようにつかんでいる

たまに強く引きすぎてしまう日もあって、

空がおっこちてくる

また一つ減って、残りを大切にしなくてはならないと思いなおす

失敗できる回数も限られている

プレイヤーの残機のように、刻一刻と減っていく

次はだれになるだろう、

明日はだれから悪い報告があがるだろうか


おちおち眠ることもできず、

眠りたくなるような冷たいベンチでぼうっとしている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る