創作論
人並みの不幸には価値がないが、幸せだと小説はかけない
常に少し、肌寒いくらいがちょうどいい
人生は創作のための肥やしにすぎないし
生み出されたものだけがその人自身を表すのだから
創作する過程で息をしているだけの人間
ネタ探しのために息をする人間
たまには旅行にいくのもいいだろう
多くの自然に触れて、多くの刺激をうけるべきだ
それでも、どうしても書けなくなったら、人と話すといい
それも、なるべく多く
自分をなんとも思っていない人であれば、より素晴らしい
その過程で濁った心象は、何よりも魅力的に映る
感性は死んでいくしかない
だからこそ、己の体から薄皮一枚ずつを剥いで、
暖炉にくべていくのだ
焼き付くような痛みなんて、些細なことだ
何を失っても、誰に嫌われても
恐れるものなんてなにもないはずだ
ふつふつと湧き上がるような音の数々を
逃がさないように囲いでつなぎとめていく
懸命に、ただ一つもこぼさないように、
急ごしらえでもいい、網の目の小さい囲いを作るのだ
それが、暖炉にくべられた数々に対しての報いだ
減った質量への手向けだ
必ずや形にしなくてはならない
ただ一つも無駄にはしないように
ただひとつの砂粒も見失ってしまわないように
たまに、ナイフが予定よりも深くささって
僕の肉体をえぐっていくときもある
真皮をも越えて血管を突き破って、
どくどくと血があふれ出すときもある
あるいは、ただくべた煙を吸ってしまっただけなのに、
目に染みて涙が止まらなくなる時もある
それらは必然的に起こることであって、
何ら憂えることではない
傷跡になんて、絆創膏一つ貼っておけば済む話だ
おっと、いま絆創膏は在庫を切らしているんだった
どこまでか行けば、きっと売っている店もあるだろう
何より、創作物への奉仕者となれるのだ
その結果生まれる些細な切り傷や、
血を失いすぎたために起きるめまいや、
頭痛やぼんやりとした眠気なんてものは、
薬を飲んでおけば済む話
気にすることではない、
むしろ積極的にささげていこう
大切にすべきものは、優先順位は明らかで、
いくらでも代替の利く素材は何よりも
軽んじられてしかるべきなのだから
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