鎧9・お宝ですわ!!
ダンジョン豚を殴り殺して肉を焼き食う、もう半ば日常と化したその行為を少年少女は目の辺りにする。
豚が首をあらぬ角度に変えて吹き飛ばされ、解体されていく、そんな地獄の様な光景。
そしてそれを焼く羽目になってしまった二人。
「ま、まだ食うんッスか!?」
「や、焼いても焼いてもキリがない……」
そろそろ20匹目だろうか、まだ満たされぬ空腹を補う為ひたすら肉を食う。
倒したダンジョン豚を大量に纏めて置けるようになったので、ならば一度に焼くことにしましたわ。
ロウタが豚の死体を運び、私が捌き、ディドナが焼いたら私が食う。
そんなローテーションを繰り返す。
ちなみに二人は一匹食べたらお腹一杯だそうですわ。
「『豚殺しの
「一人でこんなことしてたんッスか……」
ぐったりした顔で焼肉作業を繰り返す二人、だらしないですわ全く。
溜め込んだダンジョン豚が底を尽き、新しい豚を求めてダンジョン内を歩きだす。ちなみにゴブリン退治はノルマ達成したのでメインはダンジョン豚ですわ。尚、ゴブリンを食べられないか提案したら全力で反対されましたわ。
出てきた豚を倒して倉庫に入れることを何度か繰り返していると、小さな小部屋を見つけた、奥には木箱が一つ。
「箱……?」
「宝箱ッスね、ダンジョンではよくあるッス」
「宝箱と言うからには中には宝が?」
「そうッス、まあ中には外れもあるし罠が仕掛けられてたりもあるッス。罠も色々あって箱単独に毒が仕込んであったり、大掛かりだと部屋に閉じ込められたり、釣天井が降りてきて潰されるとかあるッス」
結構危険ですのね……と、ロウタが木箱へ近寄るとクンクン匂いを嗅いだりコンコン叩いて調べ始めた。
「ん~罠は無さそうッスね、鍵もかかってないみたいッス」
罠が無い事を確認して蓋を開けると。
「お、銅貨と……回復用のポーションッスね」
私も側に行って中を見ると銅貨が数枚と、赤い液体が入った丸いフラスコが二本。宝と言う割には微妙過ぎるような……?
「中身ってこんなものなんですの?」
もっとこ~金銀財宝がぎっしり、とか思ったんですけど、ちょっとガッカリですわね。
ロウタから銅貨とポーションをディドナが受けとると、倉庫へと入れる。
「まだ低層ですからね~、もっと下層まで行けば良いものが入ってるらしいでですよ、お金だけじゃなくて凄い武器とか」
「ふむ……そういうものなんですのね」
と、ふと一つ疑問が浮かんだ。
「結構な冒険者が来てると思うのだけど、空き箱だらけになりませんの?」
「ダンジョンって数時間事に一部構造が変わるんですけど、その時宝箱も入れ替わるんです、原理は解明されてなくて、一説によると人を誘き寄せる為なんて言われてますけど」
何か人為的に作られてる感じがしますわねそれって、まあ考えても仕方無さそうですけど。
「んじゃ進むッス!」
小部屋を後にして再び通路へ、ダンジョン豚を回収しながら先へ進む。途中ゴブリンも出てきてそれも倒していると、また部屋があった。先程のよりもかなり広く、見れば木箱が4つに銀色の箱が一つ綺麗に並んでいる。
「あらまたですの?しかもあんなに沢山」
これは当たりなのでは?しかも銀色のまでありますわ!
だけどロウタは何かを警戒しているのか、中に入ろうとしない、どうしたのかしら?
「……罠ッスねぇ……」
懐から小石を取り出すと、ロウタはそれを宝箱の手前に投げる。
すると、宝箱の周囲の床から金属の槍が勢いよく突き上げた。
「あんな感じで罠が仕掛けてあったりするんッスが……」
もう一回、今度は銀色の宝箱に投げつけると箱から鋭く長い針が何本も飛び出す。
「こうやって多重に仕掛けてあったりもするんで油断出来ないッス!!」
おっかないですわ……迂闊に近寄れませんわね。
「まあ、慎重にやれば普通は問題ない無いッス」
周囲を警戒しながらゆっくり宝箱に寄って行き、一つ一つ調べて回る。
「もう大丈夫ッスね、こっち来てもいいッスよ」
私とディドナも宝箱の方へと移動するとロウタが宝箱を開けていく。
「え~っと、銀貨とポーションが各種、それとこれは……指輪ッスね。」
全部を取り出すと床に並べる、銀貨が数枚と色とりどりのポーション、そして赤い宝石が付いた指輪が一つ。その中からディドナが指輪を手に取ると眺める。
「どうッスか?」
「ん~、変な感じは無いし……普通の指輪かな」
「じゃあ売却ッスね」
ロウタが袋に纏めてディドナに渡すと倉庫に仕舞い込む。
「二人とも手慣れてますのね」
「一応訓練受けてるッスからね」
「ダンジョンは危険が付き物なんで予め訓練受けてる人は多いんですよ」
「成程ですわ」
宝の回収も終わり部屋を出る、結構歩き回りましたわね、ダンジョンの中だと時間が分からないからちょと困りますわ、時計でもあった方がいいかもしれませんわ。
「そろそろ戻った方が良いかしら?」
「そうッスね、結構疲れてきたッス」
「じゃあ戻りましょうか、無理するとロクな事になりませんし」
私達は道中出てきたゴブリンやダンジョン豚を倒しながら外に出た。
さて報酬を貰いに行きましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます