その少女は天然なのか?

藍無

第1話 牛乳パック

給食の時間。

時間があまりなく、急いでパクパクとご飯を食べていると、

「むぐっ」

隣の人も急いで食べていたらしく、のどに詰まって、苦しそうだった。

しかし、隣を気にしている暇はない。

急いで食べなくては。

そう思い、急いでご飯を口の中に詰め込む。

すると、みんな給食の食器を片付け始めた。

やばいっ、早く食べ終わらなくちゃ。

いや、もう食器を片付けるのに間に合わないほうがだめだ。

よし、片付けるか。

私はそう思い、食器をもって席から立ち上がり、食器を片付ける列に並んだ。

すると、前にいる人が牛乳パックをつぶしていないのが視界に入った。

「ねえねえ、牛乳パックへこまさないとだめだよ。」

そう、牛乳パックをへこませてから袋に入れるのは義務なのである。

「あ、そうなんだ。」

まさかこいつ知らなかったのか?

先生が言っていたのに。

すると、その少女は牛乳パックに向かって、

「ばか。」

「かわいくない。」

「何で紙なんだよ。」

と、悪口を言い始めた。

まじでこいつなにをしているんだろう?

「ちょいちょい、何しているの?」

「え?牛乳パックを精神的にへこませているんだよ?」

「え!?そっち?そっちなの?」

「え?逆にどのへこませるがあるの?」

「いや、物理的に!!」

「あー!そっちかー!なーんだ。そうなら最初っからそう言ってよー!」

いや、そっちとは思わんでしょ。

精神的に牛乳パックへこませてどうするんだよ。

「教えてくれてありがとう。」

その少女はかわいらしくそう言って、

「ふんぬっ!!!!」

と声を上げながらそのかわいらしい表情に似合わないほどの力で牛乳パックをひねりつぶした。

牛乳パック__、おいたわしや。

初めて牛乳パックに同情したかもしれないわ。

「ところでさー親切な人、何て名前?」

少女はそう言って私のほうを振り返った。

どうやらクラスメイトなのに名前を覚えてもらえていないようだ。

私も人のこと言えないけど。

蒼井あおいひなた。」

「へー!かわいい名前だね!」

「あなたは?」

桜井華さくらいはな

「かわいい名前だね!」

「そうでしょ!井が一緒だから、二人のペア名はダブル井だね!」

ダブル井?

なんだそれ、聞いたことないわ。

言いずらいし。

まあいいか。

っていうか何でペア名きめてんだよ。

「これからよろしくね。」

桜井はそう言ってほほ笑んできた。

かわいらしい。

その名前の通り桜みたいでかわいかった。

「うん、よろしく。」

こうして、私と桜井は友達になったのであった。

そしてひなたの平凡な日々は終わりを迎えるのだが本人はそれに気が付いていない。




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