第4話


再会は、もっと先の話だと思っていた。


それが現実になったのは、雨のない夕方。

仕事の合間、息抜きにふらっと立ち寄った小さな裏通りの店――

店先に吊られたくすんだネオンの光が、一本の青い傘を照らしていた。


その傘は、光の角度によって淡く輝き、

よく見ると――夜空のように、細かな星が散りばめられていた。


「……まさか」


扉を開けた瞬間、ほんのりとした煙と甘いフレーバーの香りに包まれた。

そして、カウンター越しに目が合う。


「……あ」


「やっぱり、君か」


彼女は黒髪を後ろにまとめていて、白いブラウスに細身のロングスカートを合わせていた。

清楚な印象はあのときのままだけど、どこか大人びた雰囲気が漂っている。


「こんなところで会うなんて。……一人?」


「うん。たまには煙でも吸ってみようかと思って」


「初めて?」


「バレた?」


彼女は小さく笑って、奥のソファ席を指さした。


「じゃあ、軽いやつで用意するね。……苦くないやつ」

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