前編 3 助けてくれたのは……
「ゲボッ!」
激しく海水を吐き出して僕の意識は戻った。
目の前には大きくて黒曜石の様に光る瞳に真っ白な肌、さくら貝のくちびるを持つ女の子が居て、僕の顔に海のしずくをぽたぽたと落としていた。
「良かった!」
くちびるをちょっと口で拭った後、この子は両手で僕の頬をギューっと包んだ。
「この子は……どこの子?」
ここは狭い島、知らない子供なんて居ないはず。ましてや歳の近い子なら……
「ボード持って来てて良かった! でなきゃ運べなかった」
浜で寝かされている僕のすぐ脇にサーフボードが置いてあり、彼女のウェットスーツのあちこちが裂け、血が滲んでいる。
「それっ!!」
起き上がろうと動かした右足首に激痛が走る!!
「ダメ!!動いちゃ!! 止血しようとしたけど止まらない」
見るとグショグショの赤いタオルが足首に巻かれていた。
「大人の人、呼んでくるね」
「僕を
「えっ?! ああ、あの変な形の岩の事?」
僕は頷きながら懇願する。
「せりあがり岩の事は内緒にして!!」
「分かった! 向うの岩に挟まっていたって言うから」
そう言いながら伸びやかな体を跳ねるようにして彼女は岩肌を登って行った。
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