第117話
「八千流ちゃん、八千流ちゃん」
「なぁに?まま」
「その服どうしたの?ママ見たこともないんだけど!?」
新品の服。
買った覚えがないのですが!?
タグはついてないけど、ブランド物。
少し大人っぽい感じの赤と黒のチェックのワンピース。
黒の太めのベルトがまた可愛い。
「ふふっ」
蓮くんに抱き上げられたまま、満面の笑みを浮かべる八千流。
「八千流!!」
「きゃぁあっ。おひげがいたいよ!レンレン!」
これまた満面の笑みで八千流に頬擦りする蓮くん。
あら、やだ。
癒しの二人、可愛いわっ。
写真っ……ではなく。
「やっちゃん、お答えは?」
「あいすのひとにもらったのっ」
「「「???」」」
なんと!?
アイスの人??
ちょっ、ヤバいでしょっ。
え!?
知らない人から物を貰ってはダメだってキツく言ってあるのにっ。
しかもこんな高そうなっっ。
「ハイネ落ち着いて。こんなことをするのは1人しか居ないでしょ」
同じようにわからなかったはずの麻也が答えを見つけたようだ。
「…………」
そうね、居たわ。
うちには八雲さん以上に甘やかし大魔王が居たわ。
「ぬぇっ!?誰だよ!?オイッ!!」
蓮くん……わからないのか。
「もうレンレンわからないの!?やちのあいすのひとっ」
八千流にそう言われ泣きそうになってる蓮くん。
「やちー。それはわかんないよ。アイスの人じゃなくて愛する人ね」
「ああーっ!それっそれなのよっ」
八千流の愛する人=桂である。
「……ああ」
蓮くんの滅茶苦茶嫌そうな顔に笑う。
しっかしあの野郎……。
あれほど、物を買い与えないでって言ってるのに……。
後でぶん殴ろう。
物騒な事を考えつつ、まぁ奴の双子の服を選ぶセンスには脱帽する。
可愛くてカッコいい、二人に良く似合う物ばかりなのだ。
やれやれ。
「八千流はそれがいいの?」
「うん!!」
お墓参りに行くには少々派手だけど……
「このふくなら、おじいちゃんもおばあちゃんも、やちたちのことすぐみつけられるよ!!」
「「「っっ」」」
そっか、この子はこの子で考えてこれを着たのか。
麻也を見ると穏やかに笑ってた。
「麻也」
「ん。いいよ。八千流がそう言うならね」
と。
「ごめんね」
「ごめんね、まーや」
「うん」
素直に謝る八千流の頭を麻也が撫でる。
着せようとしてたワンピースは麻也が選んだものだから。
「桂は1発殴るけどね」
「許す」
ググッと拳を握った麻也にあたしは即答した。
「って、あれ?ハイドは?」
八千流と麻也のバトル中、ソファーに座っていたはずなのに。
八千流を麻也に任せ、おにぎりを蓮くんに任せ、あたしはハイドを探しに。
パパのところか……。
そう思いながらも来たのは、竜希さんと桂が寝てる部屋で。
居た。
竜希さんのお腹の上に丸まって眠っていた。
お……お……お……。
さすがに5歳児はもう重い。
竜希さんは……ドス黒い顔色をしていた!!
ヤバいヤバいヤバいヤバいッ!!
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