第115話
「帰るのか?今日はもう二人と一緒に寝て……」
「大丈夫だよ、やっくん」
まだ目は真っ赤だが、いつもの強い光は戻ってる。
「もう大丈夫。美味しいロールケーキも食べたし」
と笑う。
子供達が寝た後で、3人でお茶をした。
その時麻也はちゃんとロールケーキを食べたのだ。
「そうか」
俺はもう最近ではやることが少なくなったが、麻也の頭を撫でた。
昔と変わらないフワフワの感触。
「えへへ」
麻也が嬉しそうに笑う。
これも昔と変わらない。
「麻也」
パタパタとスリッパを鳴らしながらハイネが玄関に走ってくる。
「はい。今日あんたロクにご飯食べてないでしょ」
そう言って麻也に弁当袋を渡す。
「ハイネ……」
「おにぎりと玉子焼きぐらいだけどね。帰って食べて」
「うん……うんっ」
泣き笑いで頷いた麻也を今度は俺とハイネが抱きしめる。
「ほとんどチビ達に言われたから言うことがないんだけど……」
「ククッ。そうだな」
「麻也」
「……ん?」
「あんたは」
「お前は」
「あたし達の」
「俺達の」
「「誇りだ」」
「……ふっ。ぐっっ。もう……折角っ泣き止んだっっのにっ」
「ふふ」
麻也が泣き止むまでずっとそうしていた。
「やっくん、ハイネ」
「「ん?」」
「八千流とハイドを産んでくれてありがとう」
「俺が産んだんじゃないけどな」
「ハハッ!!そうだね、あたしもあの二人を産めて心から良かったと思ってるよ」
「ハイネ……」
母親の顔で微笑むハイネに愛しさが募る。
「俺を皆の家族にしてくれてありがとう」
ぎゅぅううううっと抱きついてきて言われた言葉に不覚にも泣きそうになった。
「それは」
「こっちの台詞だよ、麻也」
いつもいつもありがとなー。
そして新たな日が始まる。
「「まーや!!」」
「八千流!!ハイド!!」
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます