第96話

「んで?なんで女装なんてしてんだよ」




八千流を竜ちゃんから受け取り抱っこする。




「あーぅー」




キッラキラのハイネに似た大きな猫瞳が俺を見上げてくる。



はぁー、可愛い。




「あーぅ。きゃーう。きゃーっ」



「お?ご機嫌さんだな」



「「ぎゃーっ!!」」




!!??



突然のギャン泣き。



どした!?


何が!?




「はいはい。ちょーっと待ってねぇ。すぐにご飯出来ますからね~」




それに慌てることなくハイドをあやしながらの竜ちゃん。



オカン。


オカンがいる。



竜ちゃんの女装の理由がわかった……




「「ぎゃーっ!!」」



「わかった!!わかった!!すぐっすぐ出来るっ」



「あら、ダメよ~ハイド。せっかちなのはモテないわよ~」




誰にだよ、誰に。



って!!




「八千流ーっ!!反るなっ、反るなっ!!落ちる、落ちるっ」





ギャン泣きで仰け反る八千流を落としそうになり、ワタワタしてたら




「出来たわよ~」



「いよっしゃーっ!!竜ちゃん、くれっ!!早くっ!!」



「いくわよ~」




ポーンと放り投げられた哺乳瓶を受け取る。



ソファーに座り八千流を横抱きにし、ミルクを飲ますことに成功する。



隣に竜ちゃんが座り、ハイドに飲ませてくれる。





「「んっく!んっく!んっく!」」




必死で必死で飲んでる姿がもうっ




「「可愛いなーーっ」」




親バカ、叔父バカ。



デレッデレッの表情で竜ちゃんと二人、子供達が飲み終わるまで見守った。




「で?なんで竜ちゃんがいんだ?」




飲み終わり背中をポンポン叩き、ゲップを促しながら聞く。




「お前が今日1人で双子を見るって言うから心配で来たんだろーが」



「そうか」



「そうしたら案の定、お前は爆睡してるし、コイツらは腹減らしてブーブー言ってるし」



「ブーブー??泣いてるんじゃなくて??」



「ああ。マジでブーブー言ってた。なーお前ら」



「「ケプッ」」




返事の代わりにゲップで答えた双子なのであった。




「竜ちゃん」



「あ?」




ハイドにキスをしようとする竜ちゃんを呼ぶ。


そして止める。



チュウは止めれ、チュウは。




「ありがとう、助かった」



「おう。親友のピンチだからな」




スッと差し出された拳に拳を合わせた。




「「あーーーー。だぁーーーーっ」」




このタイミングでチビ達も拳を上げたから、俺達は笑ってそれにソッと拳をあてた。

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