第87話
「へいらっしゃーーいっ!!ってあんた」
「しーっ。しーっ。」
威勢の良い八百屋のおっちゃんが出迎えてくれるここは、俺の行きつけだ。
てか、さっき来た。
八千流の大好きなリンゴを買いに。
おっちゃんがそれを口走ろうとするので、必死で止める。
「??おっ坊!!」
「おいちゃん、こんちはっ!!」
もちろんチビネ達も行きつけだ。
だからハイドとおっちゃんも顔見知りだ。
「今日は一人か!?嬢ちゃんはどうした!?」
来る客をテンポ良く捌きながらハイドとお喋りするおっちゃん。
すげぇな。
「きょう、やちはねつだしたのっ!!おいちゃん!!」
「おう!!」
「これでりんごをくだしゃいっ!!」
バッとハイドが出した手に乗っていたのは220円。
ハイドの全財産だ。
20円まで出してっ。
泣きそうになる俺。
だけど無情にも、りんごは158円。
一個しか買えない。
いやいや、一個で上等じゃないか。
ハイドが買ってきてくれた、それだけで八千流は喜ぶ。
間違いなく。
「そうか、嬢ちゃんは熱か」
「うん。やちが、りんごをたべたいっていったからかいにきたのっ!!」
おっちゃんが俺を見た。
納得というように。
そしてハイドをジッと見
「よしっ!!ならコレだ!!」
と、りんごが5個入った盛りカゴを差し出してきた。
いやいやいや!!
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