第64話

「"黒豹"??」




雪代さんが首を傾げる。



そうですよね。


そうなんですよ、あたしもその歌を聞いた日には滅茶苦茶ツッコんだんですけどね!!




でもそもそも、この歌の始まりは"あたし"らしく。



これは双子達が生まれて少ししてから、竜希さんがあの子達に歌い聞かせ寝かしてけてくれてたのがあの歌で。


八雲さんにその話をしたら話してくれた。




"シャーウッド"で暮らし始めてすぐの頃、あたしは夜寝てる時に毎日泣いてたんだって。



全く覚えてないんだけど……。




それに最初に気付いてくれたのが竜希さんらしくて。



どうやったら泣き止むのか、考えてくれたんだって。




その結果が"歌"で、毎日あたしが寝た後、子守歌のように歌ってくれて、あたしは泣かなくなったらしいんだけどね。



ただ歌うだけじゃつまらないと。



そう言って、替え歌にしたんだって。



それが今双子達が歌ってる一つ。




ものっすごく竜希さんらしいよね。




あれ以来聞いてなかったから、もう歌ってないのかと思ってたけど……あの子達が覚えてしまうほど、歌ってくれてたんだね、竜希さん。




「「ただっぴろい、そ~お~げ~んでぇ~っ」」



「ただっ広い草原……??」





ああああ……。



雪代さんの頭に??がたくさんっ。




「「"くろひょう"にで~ああったぁ~」」




ノリノリだな、我が子達よ。



雪代さんの困惑そっちのけで。




しかし……




「おい」



「はい?」



「正しい歌を後で教えとけ。アレも、まぁ面白いが……」




おおっ!!


聞いた!?竜希さん!!



雪代さんが、面白いって!!



後で教えてあげよっっ。





「違うのを覚えたことで、あの子達が、からかわれたり、バカにされたりすることだけは……」





ギラリッ!!と雪代さんの目が光る。



こんな時、雪代さんの本職を思いだす。




許さん」




それでも、この方は双子にはトコトン甘いのだ。




「はい。了解です」




双子に降り注ぐ愛情に笑って頷く。




「何笑ってる?」



「ふふ。なんでもありませんよ」



「?」




しっかし、あたしこの後の歌は聞いたことがないんだよね。



あの子達は聞いたことが……





「……りゅーはいつになったら、このつづきをおしぇーてくれるのかなぁ……」



「ねー……」











なかった!!



あの子達もなかった!!




てか、竜希さんーーーーーっっ!!




ほれ、みれ。


雪代さんも続きがなくて微妙な顔をしてるわ……。




そんなこんなで……今度は、カエルの歌を歌いながら歩いていた双子達がようやく駄菓子屋さんに到着した。




「「こーーーちはーーーっ!!!!」」




挨拶するのはいいんだけど、略すよね、うちの子達……。



これは後でしっかり教えなきゃ。




さて、あの子達は、雪代さんから貰った500円で何を買うのかな?





「おぅおぅ。八千流にハイドじゃないか。よー来たのう」




店の中から一人のおじいさんが出てきた。



駄菓子屋さんの……





「おい!!アレは誰だっ!!」




またもやっ!!


どんだけ、疑うんだっ雪代さん!!




アレは




「駄菓子屋の店主さんです!!」

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