第37話 久々に魔獣の巣を発見

 前回の中央王国撤退以降王国側の動きはない。多分兵力を集めたりしているのだろうと思う。


此方はその平和な時間に人口が増えた分新たに開拓しなければ土地が足りない。現在何時ものモモ、ツバキ姉妹、サクラに加えてコデマリ+エルフ達、しろ、蒼龍というどこかの国にでも攻め込むのかと言うほどの戦力で開拓と魔物の討伐していた。


 突然ツバキの楽しそうな声が響いた

「魔物の巣と思われる物を発見」

その声に皆集まる

話し合いの結果入り口付近にサクラとサザンカを残し残りの全員で巣の偵察となった。


当初は街に何か有った時用に蒼龍を残していく予定だったが、巣の中の戦闘経験がないので連れて行く事にした。


サザンカは反対したがツバキが「戻ってからセートと二人で中で有った事を詳しく教えて貰ったらいいのでは?」の一言で納得した。


とりあえず洞窟状になった巣に入っていく。

近くに敵は見えない。今の内に洞窟内で火の魔法や水を大量に出す魔法は危険だと教えておいた。


少し進むと猪位の大きさの魔獣が5頭いた。洞窟内では気付いた時には距離が近い事が多いので見付けたら接近される前に倒さないと危険だ今回は数が多めなので教えるより倒すことを優先した。

面倒なんで雷系の魔法で意識を失わせて近くの石を銃弾ほどの速さで飛ばし倒した。


見ていたツバキから「これは悪い例です。真似しない様に」と言われた。


「なんで?」と聞くと

「5頭も同時に魔法当てるって……最初一回も当たらなかった時のこと覚えてない?1頭でも外したら攻撃されるよ。まあセートは剣も使えるから大丈夫でしょうが他の方が真似したら……ね」


「そうだねごめん。近かったから思わず。普通は障害物に隠れながら弓や魔法で攻撃して、完全に動かなくなるまで近付かない様にしてください」

「はい。わかりました……が、何をされてるのですか?」

「解体してます」

「素材とかですよね?」

「あと肉もです」

肉もと聞いた瞬間最近仲間になった人達は顔色が悪くなった。


魔物の肉は普通には食べられない。それはこの世界の常識だから。


それに気づいたセートは「休憩」と宣言して肉を切って焼きだした。

まず最初に自分が食べ、次にモモ、次にツバキと順番に食べて行き美味しいから大丈夫だとコデマリに進めた。コデマリは「これは試練か?」とか言いながら食べて……「もう一切れ」と小さい声で言った。

それを聞いたエルフ達も食べ始め、なぜ今まで捨てていたのかと言う話になった。


 間違って魔獣の肉をそのまま焼いて食べない様に「これは特殊な処理をしてるから食べられるのだと説明し、魔獣の肉を取ってきたら処理するから持ってきてと言っておいた」


しろと蒼龍は未加工でも食べられたが、魔力処理済みの方が美味しいらしい。


そして食べ終わってから気付いた。エルフに肉食わせて良かったのか?


コデマリに聞いてみた「異世界ではエルフは肉を食べないとよく言われているがこちらでは肉を食べても大丈夫なのか?」と


コデマリは「エルフは自然と暮らしている。自然を荒らす動物、魔獣も居る。戦って倒したらその肉も食べる。それが自然。殺して捨てるだけ等はしてはいけない……のだが魔獣は食べれない……いや食べれなかったから、焼いて捨ててたよ……こんなにおいしいとは。父と母にも食べさせてあげたかった。」


「そうかそれだけ喜んでもらえたら嬉しいな」


「今度父と母に会ったら肉と結婚の報告をしないとね。まだどこかで生きてるでしょう。もう数百年会ってないけど」


エルフの感覚は人間とはずれている事がよく分かった。しかし結婚より先に肉が来るとは……

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