第十七話:犯罪組織の罠! オカマ剣士、闇に挑む

 犯罪組織の存在を突き止めたジュンたち聖騎士団は、村を守りつつ、周辺地域の調査に乗り出していた。詐欺師たちからの情報によれば、この組織は魔物を操る術を使い、弱小村を支配しているらしい。そして、その背後には「影の商人」と呼ばれる謎の存在がいるという。


「影の商人…どうせロクな奴じゃないのは確定ね。」

 ジュンは拳を握りしめ、ため息混じりに言う。周囲の若い騎士たちはその姿に頼もしさを感じつつも、緊張した面持ちだ。


「ジュンさん、私たちはどう動けばいいですか?」

 ライゼルが尋ねると、ジュンは軽く顎に手を当てて考える。

「まずは組織の本拠地を探り出すわよ。そのためには、奴らの次の動きを予測しなきゃね。詐欺師たちが話してた『次の標的』に行ってみましょう。」



 数日後、ジュンたちは近隣の村にたどり着いた。その村も、既に犯罪組織の魔物による被害を受けており、村人たちは怯えた様子で身を寄せ合っている。ジュンはその光景を見て、静かに剣の柄を握った。


「まったく、こういう連中が一番腹立たしいわね。弱い者を狙うなんて最低。」

 ジュンは村人たちに声をかけ、情報を集め始める。村人たちからの話によれば、最近になって黒ずくめの男たちが現れ、夜陰に紛れて怪しい荷物を運び込んでいるらしい。


「なるほど、その荷物が魔物に関係してる可能性が高いわね。」


 ジュンは鋭い目つきで周囲を見回し、騎士団の仲間たちに指示を出す。


「みんな、今夜は分散して見張りをお願い。あたしは村の中央で動きを確認するわ。怪しい奴がいれば、迷わず捕まえるのよ!」


「了解です!」

 若い騎士たちは緊張しながらも気合を入れ、それぞれの持ち場に散っていった。




 夜になると、村はひっそりと静まり返った。月明かりがほのかに照らす中、ジュンは村の中央広場に立ち、耳を澄ませていた。その時、遠くから微かな足音が聞こえてくる。


「来たわね…」


 ジュンは薄暗がりに身を潜め、足音の主を確認しようと目を凝らす。やがて現れたのは、黒いフードを被った男たち数人。その手には大きな箱が担がれている。ジュンは息を殺しながら、さらに様子を伺った。


「次の魔物はここで解き放つ。村人たちが恐れれば、すぐに支配下に置けるはずだ。」


 黒ずくめのリーダーらしき男が低い声で話すのを聞き、ジュンの眉間に皺が寄る。


「なるほど、これで現行犯確定ね。」


 ジュンは物陰から飛び出し、剣を抜くと鋭い声を上げた。

「そこまでよ! オカマ剣士ジュンのお通りだわ! 不法侵入と脅迫、そして魔物を使った犯罪――全部まとめてあたしが裁いてあげる!」


 突然の登場に男たちは驚愕し、一斉に逃げようとする。しかし、ジュンは俊敏な動きでそのうちの一人の足を払って転倒させた。


「逃げようとしても無駄よ。あたしの剣からは誰も逃れられないの♡」


 すると、箱の中から獰猛な咆哮が響き渡る。次の瞬間、箱が爆ぜるように壊れ、中から巨大な魔物が姿を現した。それはドラゴノイド以上に不気味で、毒々しい光を放つ鱗に覆われている。


「また厄介そうな相手ね。」


 ジュンは剣を構え、目の前の魔物を見据える。騎士たちが次々と駆けつけ、魔物を取り囲むように配置につく。


「ライゼル、みんなで挟み撃ちにするわよ! あたしが正面から引きつけるから、側面を狙って!」

「了解です!」

 ライゼルは部下たちに指示を出し、ジュンの作戦に従った。


 ジュンは鋭い剣筋で魔物の攻撃をいなしながら、確実に反撃の隙を作っていく。魔物が巨体を振り回し、木々をなぎ倒そうとするが、ジュンは一瞬のタイミングでその攻撃をかわし、剣を喉元に突き立てる。


「これで終わりよ!」

 ジュンの一撃が魔物の急所を貫くと、その巨体は音を立てて地面に崩れ落ちた。


「やった…! 魔物が倒れた!」


 若い騎士たちは歓声を上げる。しかし、ジュンはまだ気を抜かず、黒ずくめの男たちを睨む。


「さぁ、あんたたち。誰がこんなことを企ててるのか、全部吐いてもらうわよ。」


 男たちは恐怖に震えながらも、「影の商人」の名前を口にした。それは、周辺地域で暗躍する犯罪の黒幕として知られる人物だった。


「なるほど、次はその“影の商人”ってわけね。」

 ジュンは剣を鞘に収め、若い騎士たちに命じた。

「村の安全を確認したら、本格的にあの商人を追う準備を始めるわよ。」



 こうして、ジュンたちは犯罪組織の新たな情報を掴み、次なる戦いへと進む準備を始めた。清廉なるオカマ剣士の剣が、さらに深い闇を切り裂く時は近い。


 第十七話、ここまで。

 次回、影の商人との直接対決がついに迫る! 新生聖騎士団はどのようにこの巨大な闇を暴いていくのか? ご期待ください!


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