(卒アル)
「ひょーちゃんは……
もしかして これ?
かわいいー!!」
『そ、そうかな?』
「……前に ひょーちゃんが言ってた幼なじみの子って
……どの子?」
『あー、この子だよ』
集合写真に指さして僕がそう言うと、
「わぁ キレー……。
結構モテたんじゃない??」
『うん、他校からも人気あったみたい
一緒に歩いただけで睨まれたりもしたし』
ページをめくる凛の手が止まり、間が空いた。
少し言葉を詰まらせながら凛が再び口を開く。
「今も……
好きなの?」
『……わからない。
わからないけど、
幸せになってほしいとは思ってる』
「そうなんだね……」
明らかに声のトーンが変わった。
少し俯いて視線をアルバムから離す凛。
『凛、寒くない?
これ、羽織って……?』
「ありがとう」
着ていたジャケットを凛に羽織らせたときに、肩のあたりで凛と手が重なった。
『「あっ」』
凛と顔を見合わせたときにアルバムが膝から落ち、
その瞬間に僕は、何も言わずに凛を抱きしめていた。
「ひょーちゃん……
凛は ひょーちゃんがいい……」
『凛……。
しばらく こうしてていい?』
「うん……」
抱きしめた腕がほどけたとき、
凛は僕の肩に頭をのせた。
もう一度顔を合わせたときに、視線が重なり
凛はゆっくりと瞼を閉じた。
僕の視界が狭まって消えていったときに、
冷たくなっていた唇はゆっくりと体温を感じて
何度も 何度も やさしい熱を交換した。
『僕は、凛が好きだよ』
部屋にかけたコートが乾く頃に、僕と凛は恋人になった。
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