◇◆◇

「あのぅ……

　もしよかったら、私と付き合ってもらえますか？」

放課後、部活に行く途中で違うクラスの女子から告白された。

『……ごめんなさい。

　今は、そういうことは考えられなくて……』

決死の覚悟で気持ちを伝えてくれたんだと思う。

断ることがとても心苦しかった。

だって、僕には同じことが出来なかっただろうから。

人を好きになることがこんなにも大変なことだとは思いもしなかった。

相手からの好きと、同じかそれ以上の好きで返さなきゃいけないものなのかな。

少なくとも僕から好きと言えないようじゃ、もっと申し訳ない気持ちになってしまうだろう。

だけど、もしも付き合っていたら……僕は変わることができたのだろうか。

いつの間にか引いてしまった境界線は、人を好きになる感情の一歩手前で僕の歩みを躊躇させる。

今の自分は最低だな。

自分だけ傷ついているんじゃなくて、周りも傷つけてしまっている。

臆病で、最低で、いいとこ何にもない。

本当に欠点だらけだ。　僕は。

あぁ、苦しいなぁ。

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