第8話 魔法学院へ
「それにしても、あの人間どもはどうやって、あの牢屋を脱獄したのでしょうか。」
私とラフィスは今、魔法学院に向かう馬車に乗っている。
ちなみに私は、魔法学院で魔王だとばれないようにするために、変装している。
いつもは紫色の髪なのだが、金髪に染めている。
そして、ラフィスもばれないように金髪に染めている。
なぜだか、ラフィスは少し上機嫌である。
また、魔王としての仕事などはヨルに任せている。
「そうだねー、第三者がその脱獄にかかわっている可能性が高いね。」
「そうですね。あの牢屋はカギがないと開けられませんし、あの牢屋を壊せるのは魔王様くらいの強さを持っていなければ絶対にできないことです。でも、あの人間どもはとてもじゃないけど魔王様よりも比べるまでもなく圧倒的に弱かった。」
「と、するならば、私くらい強い第三者がかかわっているってことか。」
「そうですね。」
面倒くさいことになりそうである。
でもなー、私よりも強い、または同じくらいの強さっていうとルミクナしか思い浮かばないんだよね。でも、ルミクナは友達だから絶対に私のことを裏切らないし。そもそも、単純な性格だからすぐにそういう裏切り行為をしてもすぐにわかるんだよね。
「どちらにせよ、長期戦になりそうな気がしますね。」
「そうだね。」
私とラフィスがそんなようなことを話していると、魔法学院についた。
早朝に魔王城を出発したので、前世でいうと3時間ほどで学校についたので、今は午前7時くらいである。
「ねー!君、転校生?」
いかにも明るい性格そうな生徒が話しかけてきた。
ちなみに私は今、魔法学院の制服を着ている。
「はい、今日からこの学院に通うことになりました。よろしくお願いします。」
私は、丁寧にそう言った。
「へー!よろしくねー!」
そのあとは、様々な質問攻めにあった。
好きな食べ物、趣味、嫌いな食べ物、どこから来たか、どんな事情があったのか、など本当に様々なことを聞かれた。もちろん、どこから来たかとどんな事情があったかは、本当のことは言わなかったが。
教室につくと、先生がいて、後でみんなに紹介するから廊下の外で待っていてほしい、とのことだった。
廊下に立っていると、
「いいですよ、」
と、先生が扉を開けて言ったので、私は教室の中へ入り、
「こんにちは、私はシャナル・フィフシェ。好きな食べ物は、クッキー。趣味は料理です。よろしくお願いします。」
と、笑顔で言って礼をした。
もちろん、嘘である。シャナルは本当の名前だが、フィフシェは偽名である。
そして、趣味が料理だというのは嘘である。
本当は読書が趣味である。
好きな食べ物はクッキーなのは本当である。
クラスの人たちは、私のほうを笑顔で見ている。
どうやら、好感を持たせることに成功したようだ。良かった。一安心だ。
私についてきたラフィスは、
「シャナル様の従者をしております、ラフィスです。よろしくお願いします。」
とだけ、言った。
クラスの女子は、少し熱のこもったまなざしでラフィスを見ている。
ラフィスがイケメンに分類される者だからだろうか。
もっとも、クラスの男子はじーっと、ライバルを見るような目で見つめている者や、興味なさげにあくびしながら見ている者もいたが。
「では、シャナルさん、ラフィスさんの席はあちらになります。」
先生はそう言って、教室の一番後ろの席を指さした。
「はい。」
私はそう言って、教室の一番後ろの席に座った。
隣の席は、ルメイラ、という名前の女の子だった。
ふわふわとした髪の毛が特徴的である。
その後、授業が終わり、休み時間になると私とラフィスはレベル測定をすることになった。先生は、水晶を取り出して、
「では、この水晶に手をかざしてください。」
と言った。
私は少しだけ、本当に少しだけ魔力を放出して、手をかざした。
すると、その水晶に『55』という数字が浮かび上がった。
「おー!レベル55です!すごいですね!この学園では上位に入りますよ。」
どうやらそれなりにすごい数字ならしい。
良かった。魔力の調整が上手くできたみたいで。
次に、ラフィスが手をかざす。
どうやら、ラフィスも魔力の調節ができるようになったようで、そのレベルは、『30』と表示された。
「おー!ちょっとすごいですね。平凡よりちょっと上の魔力量です。」
先生は少し驚いた様子でそう言った。
ちょっとくやしい。
私が、平凡よりちょっと上くらいをめざしたら55レベルになってしまったから。
ラフィス調節が上手すぎる。。。少し自慢げにこちらを見ているのが腹立つかも。でも、ほめてください、と言わんばかりにこちらを見ているのが少し子犬みたいでかわいい。あとで、ほめてあげようかな。かわいいし。クラスで目立たないようにすることに成功したし。あとは、クラスのみんなになじめるように誰か友達を作るだけだ。
そんなことを思って安心している魔王をルメイラがとても冷たい瞳で見ていたのは、魔王は知らなかった。
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