劇場 ACT2
トン――と主役の一歩は、
劇場に強く反響して
革靴の足音が世界を一気に、
観客の雑踏を斬り裂く
さあ――
その一声で
世界に線を描き
世界に色を付け
真っ新な意味を持たせる
「本日は、当劇場にお越しいただきありがとうございます。今宵も、すてきな物語の世界へ、皆さまをご案内しましょう」
静かにカウントダウン
3〈スリー〉
2〈ツー〉
1〈ワン〉
ゆっくりと緞帳は開いて、
物語のはじまり、はじまり――
歌うは、世界の楽しさ・哀しさ
愛も
怒りも
踊るは、希望・渇望
涙も
笑いも
唄って、
躍って、
疲れ果てて、
騒いで、
叫んで、
手を取り合って、
楽しい時間は、
短く感じ
時間はとうに過ぎ去って
十二時の鐘も
魔法のドレスも
残された硝子の靴だって
全ては昨日見た夢のよう――
またいつか
また明日
静かに幕は下りていく
ライトは消え
静かになった
「今宵の舞台はいかがだったでしょうか。またの御来場を心よりお待ち申しております」
音の無くなった世界は、
いまひと時の眠りについた。
再び、ライトの灯る明日の夜に
また、
お会いしましょう
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