第2号 人参が舞い降りてきた夜
晴仁が人参と出会ったのは、こんな夜だった。
福岡は
牛蒜がすぐ目の前で、黒のフードをかぶってベースをかき鳴らしている。ヴォーカルの
♪ヤッホと叫べば ヤッホと答える
山になり〜たい〜
新メンバーの
女を中心に狂気の渦が巻き起こり、警備員に連れ去られる数名の客。騒動をものともせず声を張りあげ続ける91。
警備員に答えた、女の供述。「この前
翌日のTwitterで、牛蒜の投稿。「おれが独身なら、あんな女を嫁にもらうのも悪くない。栄養のこととか考えてくれたんだろ?」
(やれやれ、なんてこった……)
ライブハウスを出てから、晴仁がふと首の後ろに手を回すと、フードの中に人参が一本、紛れ込んでいた。
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