記録:鏡翠花

 この花――鏡翠花きょうすいか――は、幻想を詠う。夜に煌めき、その月光にも勝る輝きは、宵冬の太陽とも言われている。

 花言葉は、星に願いを。

 花弁は翡翠の色で、鏡のようである。そのため、夜には光を淡く反射し、周囲を翡翠色に色づける。

 二涙星の神話では、この花をすれ違う感情の鏡として例えられている。

 リセに、僕の思いが伝わっただろうか。

 笑っていてほしい。ずっと、ずっと。

 きっと、君は太陽のように明るいから、そんな願いがなくても笑うだろうけど。

 ただ、あの時の君との他愛もない会話が、僕にとって大切な思い出だ。

 ずっとそばにいたい。


 思い出の手帳に、折れかけの鉛筆で書きこんだ。

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