最終話 キャラクター座談会

 文字数も残り3000字となり、この回で最終話となります。一応、こちらもエッセイ部門でカクヨムコン短編にエントリーしておりますが、果たしてこの作品がエッセイと呼べるものなのか? それはさておき、今回はキャラクター達による座談会です。作者であるノエルアリは、別室のモニターから、彼らの本音トークに胃をキリキリとさせながら聞いております――という設定で。


 では、今回の座談会に出席していただくキャラクターの紹介です。


『リリア・フラーシルは、今日も聖人認定されたい!』より、聖人になることが何よりも悲願、リリア・フラーシル。


『ヘイアン公達の月交換視察〜帝が天女を妃に迎えるまで〜』より、眉目秀麗なカリスマ帝、都造みやこのつくりこ朱鷺とき


『快刀ディクショナリー』より、辞書界の秩序と平和を守る統監語句、一網打尽(ジン)。


『鬼の発生と消滅のメカニズム』より、フリーダムな鬼の長男、頬月ほおづきみやび


 以上の四人でお送りいたします。なお、キャラクターのみの座談会では心許ないため、お題は彼らの前に設置したモニターにて映し出しております。


◇◇◇

モニター『お題1;作品での貴方の立ち位置は?』


 お題を読み、四人のキャラクター達がフリップに答えを書く。


モニター『では一斉にお出しください』


リリア「ヒロイン」

朱鷺「主役」

ジン「統監語句」

雅「弟にオーナーを解任された、残念なパスティッチェーレ」


「――いやいやいや」と雅が顔の前で手を振り、声を荒げる。

「君たち主人公の割に、キレが弱いよ!? ほらもっとオモシロ回答しなきゃ!」


「別にウケを狙って答えている訳ではないわよ? あるがままの回答をしているだけ」

「左様。作中そのままに答えたまでぞ?」

「すみません。私は主人公とは程遠いキャラクターでして……。なぜ私がここに呼ばれたのかも、未だ分からずじまいなのです」


 リリア、朱鷺、ジンの順番に言葉を発る。うーん、と雅が唸る。


「そうなの? ごめんね、座談会だと聞いていたから、もっとボケたほうが良いのかと思っちゃった。それじゃ、次からマジメに答えるよ」


モニター『お題2;貴方の野望は?』

 

 さっとフリップに記入し、四人が一斉に答えを出す。


リリア「誰もがひれ伏す、愛と蠱惑こわくの聖人」

朱鷺「絶世の美女との酒池肉林三昧」

ジン「世界平和と、愛する語句との心穏やかな日々」

雅「存命」


「――いやいやいや、ちょっと待ってよ! さっきと逆になってるじゃない! マジメにやるんじゃなかったの!?」


 またしても雅が声を荒げる。


「失礼ね。マジメにやってるわよ?」

「ふざけておられるのは、貴殿のみであろう?」

「野望は何かと聞かれて、存命とお答えになるとは。そちらの世界は、よほど鬼を根絶やしにされたいのですね」


 ああ、と憐れみの瞳を向けられる雅が、「あれ? 今回は僕がボロクソにされる感じ?」と、この座談会に疑問を呈す。


「まぁ、当然よね? だってこの中じゃ、あなたの作品が一番レビューが少ないのだもの」


「あ、格付け的な? でもそういうのってどうなんだろう? 僕達は作品こそ違えど、同じ作者から生まれてきた、言わば兄弟のようなものだよ?」


「ふふ。我らが兄弟? ――否。我らは日々、主の代表作の地位を狙う物語同士。兄弟などと言う馴れ合いではなく、殺伐と星獲得戦を争う敵同士よ」


「哀しいですが、これが現実なのですよ、雅さん」


「いやいやいや、百歩譲ってリリアちゃんと朱鷺君に上から目線で言われるのは良いよ。二人ともほぼ三桁レビューの作品の主人公だから。でもジン君、君の作品のレビューは僕とあまり変わらないよね? しかも主人公じゃないし。だとしたら、君もこちら側だよね?」


「確かに私は主人公でもありませんし、レビューも御作と変わりありませんが、一応、ミステリー部門で週間ランキング15位という偉業を成し遂げましたので」


 それには雅も敗北を認めざるを得なくて、ぐっと怒りを呑み込む。


「大人しそうな顔をして、言ってくれるじゃないか。これがヒエラルキーというやつだねっ――!?」


「圧倒的格差、超えられない壁」と三人が嘲笑を浮かべて、雅を見下す。ガクンと肩を落とした雅であったが、ニヤリとその口元が笑った。


「……分かったよ。君たちの言い分はよぉく分かった。良い機会だ。この際、はっきりとさせようじゃないか」


「はっきり?」とリリアが眉をひそめる。


「そう。この中で誰が一番の作者のお気に入りなのかをねっ!」


 言い放たれた雅の言葉に、別室で優雅にルイボスティーを飲んでいた作者が盛大に吹いた。


(ゴフッ……な、なんだってぇ!? 作者の一番のお気に入りを決めるだとぉ?)


「何を仰せになるかと思えば、雅殿。一度冷静になられよ。左様な不毛な争いなど、誰の得にもなりませぬぞ」


「朱鷺さんの仰る通りです。我らが創造主にとって、自らが生み出した作品は、みな我が子同然のはず。そこにお気に入りも一番もないでしょう」


「そうよ。たとえノエルアリにお気に入りのキャラがいたとしても、それは一生懸命に磨き上げた結晶のようなもの。私達がとやかく言うことではないわ」 


「そ、そんなに滅多打ちにしなくたっていいじゃないか! 僕だって自分を生み出した創造主に愛されたい、ただその一心なんだよ!」


「それはみな一緒ぞ。創造主の生みの苦しみは、我ら創られし者にはよう分からぬ。それでも文章のみで一つの物語を紡ぎ、完成させんとする情熱は、我らに愛のある証拠であろう?」


 朱鷺の言葉で、ようやく雅も落ち着きを取り戻した。


「そうだね。誰が一番とか、どの作品が人気があるとかじゃないよね。みんな、創造主の作品なんだ。創作への意欲や情熱があるからこそ、僕達キャラクターは生きている。そう思うよ」


「ええ。その通りね」

「一件落着ぞ」

「こうして他の作品の方々と話すというのも、貴重な経験ですね」


(おお! なんか丸く収まったぞ。これで座談会も終わり。このエッセイもどきの作品もようやく完結だな)


 そう思った、その時であった。


「――なぁ、誰か一人、忘れてへんか?」


「え?」と四人が声がした方に振り返ると――。


「なあ、アンタら。ウチが誰か、分かっとんの?」


 鋼鉄の鶏冠とさかに、尻の穴に突き刺さった鉄パイプ――。ま、まさか、お前は……!


「お初にお目にかかりますぅ。どうも、『風見鶏令嬢、救世主になる!?』の主人公、ニーナ・ワトリエルですぅ」


(あわわわわ! 今一番会いたくないキャラ来ちゃったああああ)


 そう、何を隠そう、このニーナ嬢こそ、今最も作者である私に不平不満を抱いているキャラクターなのである。


「あらニーナ、あなたも座談会に呼ばれていたの?」


「そないなワケあらへんやろ! 作者アイツがウチを呼ぶか!」


「へえ。本当にご令嬢が風見鶏にされちゃっているんだねぇ。比喩表現だと思っていたよ」


「ふふ。にいな殿、人の御姿であらば、どれだけ可憐であられたであろう」


「うっさいわ! それより作者はどこにおんねん!? どっかでウチらのこと見とるんやろ! 出てこんかい、アホ作者ー!!!」


「落ち着いてください、ニーナさん。創造主ならば、別室に控えていらっしゃいますから」


(ジン、余計なことを言うんじゃない。……ヤバい。相当ご立腹の様子。無理もないか。14歳のうら若き令嬢が風見鶏にされて、世界を救う救世主になる物語だもの。尻の穴に鉄パイプ突き刺さっているんだもの。そりゃ、激怒するわな)


 ◇◇◇

 大乱闘が起きかねない座談会はお開きにして、最後の締めを行おうと思います。


 今回、このような形で作者とキャラクターの対談を書かせていただき、本当に楽しかったです。いつか同じような企画ができればと考えております。


「( 作者名 )、自分が生み出したキャラクターに、〇〇される」というようなお題企画ですね。


 ともあれ、いつか自分の作品及びキャラクターが日の芽を浴びることができるよう、いっそう精進して参ります。ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。一創作者として、また一読者として、皆様の作品の御多幸もお祈りしております。

                   了










 


  


 

















 







 






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ノエルアリ、自分が生み出したキャラクターに説教される ノエルアリ @noeruari

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