第4話

「……いいえっ!


そんなことはけして

致しません!


お嬢様の血は頂きません。」



「……あら。

どうして?」



「……どうして、と

言われましても。


我らはその昔、人間との共存を決めたんです。

古来のように、人間を襲うなど野蛮なことは致しません。その証として…私もお嬢様にお仕えしているのです。」




「……嫌よ。ネオ。

私知ってるのよ!」




「え……?」





幼い燕尾服に掴みかかる小さな真っ白い手。

キズの一つもない。




「……人間の生き血を

飲まないヴァンプは


……20年と生きられないって。」




小さく震える…その繊細な手は、彼女が大切に大切に育てられた証。




「……お嬢、様?」




光を蓄えた大きな瞳に

涙をいっぱいに溜めて




「……お願いネオ。

私の血を飲んで……?」




「……ッ、」




その日……彼女は

あまりに魅惑的で




「……命令よ?

ネオ……


貴方は私の血を飲むの。」



幼い僕には……残酷な命令をした。

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