プロローグ(アリス) 綴られてない物語

ある日、

少女は見つけた

見たことのない服を着た三人組

三人は毎日記録を取りに

ここに来ていた。

だが、少女が三人組を認識したのは

その日が初めてだった

なぜなら、それは本来起こり得ず

触れることも見ることも

ましてや、気づけるはずはなかった

だが、何者かのいたずらで少女は気づいてしまった

少女は知らないものへの恐怖を感じていた

しかし、少女の中には

それを超える大きな好奇心も生まれた

否、好奇心を植え付けられた。

三人組は、少女に対して違和感を感じ、

観察しようと近づき触れようと手を伸ばした。

少女は、その手を弾き逃げ出した。

そんな事が起きても、

周りの誰もそれに気づかず

手を止めるどころかまるで自分がいないような

振る舞いの人たちに、

怒りでも、疑念でも、恐怖でも、驚きでもなく

自分でもわからないほどの強烈な殺意に

少女は飲み込まれた。

逃げる足を止めて

少女は、追いかけてきていた

三人組に向き直り

襲いかかった。

首の動脈を噛みちぎり

落ちていた枝で目を抉り

みぞおちに彼らが持っていたボールペンを刺した。

そうしてれいせいになった少女は初めて、開かぬはずの口を開け、

出せぬはずの声を出した。

「私は誰?」

自分の人生も親の顔も

何もかもがわからず

唯一知っている自身の名前

誰がつけたかもわからない名前に

少女は、誓った

私を見つけ出すと、、、



2つめの主人公を作った何者かは

これから綴られる、本人も知らない物語を楽しんでいた。

破られた原稿は、新たな「ものがたり」を綴るために混ざり合い

一つになっていく、、、

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