聖なる結婚
「私は、
しかし、男性の家族が、迎えに来ることはなく、男性は、馬車に
そこで、彼は、施設の女の手から、迎えに来た、神殿の
神殿は、見た目も
男性は、はじめの
そのうち、だんだん、神殿の暮らしに
神殿の人々は、
「神殿に、悪いことは何も無く、私は、愛情に包まれて育った」
男性も皆に
「私は、“結婚”することになったんだ」
「結婚!?」
ニコロの話では、神殿は、男を隔離して飼い殺す場所なのでは?
「どういう事ですか?そもそも、なぜ
「もともと、決まっていたことなんだ」
神殿の役割とは、この、アマゾーン国で、命を
この国の神話に
アマゾーンたちは、神殿を聖域として、
その特別な日とは、神殿の男たちの中で選ばれた者が、丘を降りて、下界の女と結ばれる、結婚の日、である。
「それはそれは、悲しかった。なぜなら、丘を降りたら、二度と戻ることは許されない。結婚は、家族との、永遠の別れを意味していたからね」
男性は、遠い目をする。
「
レナトスとルキウスは、感心したような、
「…話は、終わりじゃない。むしろ、これからなんだ」
男性の目に、光が宿る。
「下界に行って、私が見たものは、
そこで男性は、下界の人々、つまり、地上の女たちから熱烈な歓迎を受けて、豪華な馬車に乗せられて、
「結婚式は、それは素晴らしいものだった。妻や家族は、私を大事にしてくれた。私は、新しい家で、愛を
アマゾーン国の結婚式は、ある神話がもとになっている。
それは、人間の男の王が、大地の女神と結ばれて、大地に実りをもたらすという話で、王は、今でも女神のもとで暮らし、春になれば、緑とともに王が戻ってくるという、言い伝えもある。
王が、女神のもとへ行くように、男は、女と、結ばれる。
結婚は、神聖なものとされ、特に、神殿の男と婚姻を結ぶことは、聖なる結婚、“
「しかし、
「それは、この国の事情もあるが、アマゾーンの人々は、夫を分け合うんだ。他人に与える
窓からは、夕日が差し始めている。
「まさか、神殿に住んでいた
「神殿の謎が、こんな形でわかるとは、思いませんでした」
「私こそ、神殿の話をしたのは、久しぶりだ。こちらこそ、話を聞いてくれて、ありがとう」
ちょうど、その
彼女が言うには、男性の家族が迎えに来たとのこと。
男性は、
「お
「そういえば、私の身分証は…」
「この
彼女は、持ってきた鞄を、レナトスに渡した。
「あなたの言う、“身分証”は、どこにも無かったわ」
「そんな、バカな!」
レナトスは、信じられないという顔をして、
「無い!無い無い無い!身分証が、あの革製の身分証の中に王国の紋章が」
「レナトス、落ち着くんだ」
レナトスは、一心不乱に
「それじゃあ、私は、また
「違うんです!本当にあるんですよ!これくらいの、革製で、中に王国の紋章が
レナトスは、両手で身分証の大きさを
「王家、ねぇ…」
女性は、レナトスの“あかぎれ”だらけの手を見て、軽く
ニコロたちとの楽しく、新鮮な体験が、ここでは、完全に
「では、明日になれば、あなたたちの身元もわかって迎えが来るでしょう。用事があったら、入り口のベルを鳴らしてくださいね。それでは、おやすみなさい」
女性は、そう言って、さっさと部屋から出て行ってしまった。
「待ってください!」
女性を追いかけようと、
「レナトス!やめるんだ、見苦しい」
「離してください!あの身分証が無ければ」
「運命には
すっかり夜になり、窓から差し込むのは、月明かりになった。
レナトスは、
窓の飾りが、月の光で輝いている。
「眠れないのか?」
ルキウスは、レナトスが寝室にいないのを心配して、様子を見に来た。
部屋には、飲み物やお菓子が置いてあったが、食べた様子はない。
「…どこにも行けず、何もできない。私は、自分の
「それは、私もだ。今の私は、見知らぬ
ルキウスは、持ってきた
ろうそくの
「私は、
「ムーサ?」
「我々には、詩がある。詩には、人の心を動かし、希望を与える力があると、私は、信じている」
「…詩は、たとえ、非力でも、何を失っても最後まで残るものだと、私も信じています」
やがて、朝が来る。
白い廊下のような部屋は、光が
そんな、光の射す白い部屋に、見知らぬ女が来た。
かしこまった女性は、悲しそうに
女は、レナトスたちの前で、
「この、
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