第5話
紫織は、ガムテープで口を塞がれている溝口が、紫織が動く度、話す言葉に、怯えで目を見開いたり動いているのが面白くて笑ってしまう。
「私のことおかしいと思ってるでしょう?
気がふれた看護師と医師の心中」
紫織は、嬉しそうに声を上げて笑った。
「死んだのは、先生に利用されて、辞めさせらた看護師。
付きまとわれて、迷惑だと振り払い、看護師の中には、先生の子供を堕ろした人もいると聞いたわ。
先生に、お金を融通するために看護師になった訳じゃない。
だから先生は、その人達の苦労を、苦痛を受けるべきよ」
溝口の顔が次第に歪んでいく。
「そんな目をしても、今はガムテープを剥がさないわよ。
先生は、視線で指図しなきゃ。
『病院に残りたいなら、娘と結婚しろ』
都合の良い理事長命令ですこと。
それから、
『財産は妻が握っているから、僕には自由になる金が無い。
研究費用にも苦労しているんだ』
だからって、看護師が貯めたお金をクラブや競馬につぎ込んでいい理由にはならないわ」
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