命果てた雨蛙を、
蟻が行列を無してむさぼり食い、
人間がその蟻の行列を、なんの困難もなく踏みつぶす。
この世界を踏みつぶしてしまえ、
そう言われている心地がしながら、
もういちど読み返すと、
“水垢を纏ってすっかりタンパク片になった雨蛙は、その血肉を蟻にわけて、黙りこくったまま生命を紡ぐ役目を果たしていた。”
との一文で目がとまりました。
奪い合っているのか、分け与えているのか。
いずれにしても、合点のゆかないこの世界を、踏みつぶしたいときの心が、私にもあります。
美しい文体をありがとうございました。