第11話 地下保管室への道

激しく降りしきる雨の音が、警察署の古びた窓を叩いている。稲妻が夜空を裂き、一瞬だけ廊下の壁に張られた掲示物を青白く照らす。その光はすぐに消え、再び暗闇が訪れる。廊下を駆け抜ける不審者の足音が、雨音を押しのけるように響き渡っていた。


署長が小声で香織と涼介に促した。「地下保管室へ行く。ついて来い。ここに留まるよりは安全だ。」


香織はバッグをしっかりと抱えながら涼介を見た。「行きましょう。ここに留まっても、時間の問題よ。」


涼介はわずかに渋い顔をしながらも頷いた。「お前がそう言うなら……でも、信じすぎるなよ。」


署長はドアに耳を当てて状況を確認している。「廊下は静かだ。今が移動のタイミングだ。」


彼がドアを開けた瞬間、湿気を帯びた廊下の冷たい空気が流れ込んできた。署長が先頭に立ち、香織と涼介がその後に続く。蛍光灯のちらつく薄暗い廊下は、どこか不気味な雰囲気を醸し出していた。


足音を抑えながら進む三人の後ろで、何かが落ちる音が響いた。香織が振り返ると、後方の闇に動く影が一瞬見えたような気がした。


「誰か……追ってきている。」香織は緊張した声で囁いた。


涼介も振り返る。「あいつらか?本当にここまで入り込んでるのか?」


署長は声を低くして言った。「後ろを見るな。足を止めればそれだけ追いつかれる可能性が高くなる。」


彼らはさらに慎重に進んだ。廊下の曲がり角に差し掛かると、署長が一度立ち止まり、身を低くして外の様子を確認した。


「よし、誰もいない。行け。」


角を曲がると、階段が現れた。階段は下へ続いており、薄暗い地下へと通じている。古びた階段の手すりには錆が浮き、足元のタイルは湿気で滑りやすくなっていた。


「ここが地下保管室への道だ。」署長は先頭に立ちながら囁いた。「静かに降りろ。音を立てるな。」


階段を慎重に降りきると、狭い地下通路に出た。通路の奥には鉄製の頑丈なドアが見える。そのドアには鍵がかかっており、ドアの上部には「保管室」という文字が小さく刻まれていた。


署長は懐から鍵を取り出し、鍵穴に差し込んだ。「ここは署の中でも限られた人間しか入れない場所だ。誰かがここに侵入することはまずあり得ない。」


「でも、それでも安心はできない。」香織はバッグを抱え直しながら答えた。「あなたが言ったように、内部に敵がいる可能性があるなら。」


鍵がカチリと音を立てて回り、ドアが開いた。署長が中に入るよう促す。


「早く中に入れ。」


香織と涼介が保管室に足を踏み入れると、中は想像以上に広かった。棚が何段にも積まれ、紙の資料や金庫が所狭しと並んでいる。蛍光灯の白い光が資料に反射し、異様なほど整然とした空間を作り出していた。


「ここなら少しは落ち着けるだろう。」署長が扉を閉め、鍵をかけながら言った。「この部屋の鍵は私が持っている。内部の記録を確認する時間を稼げるはずだ。」


涼介が警戒心を露わにした表情で周囲を見回す。「だけど、ここに閉じ込められたら、逆に袋のネズミだ。」


香織も緊張を緩めることなく、バッグを抱えたまま署長に向き直った。「署長、このデータをどうやって世間に届けるつもりですか?」


署長は腕を組み、真剣な表情で答えた。「まずはデータの中身を精査する。その上で、内部の誰が信頼できるかを見極める必要がある。」


「そんな悠長なことを言ってる場合ですか?」香織の声には苛立ちが混じっていた。「追っている人間がここまで来ている以上、早く行動しないと隠蔽される危険が高まる。」


署長は香織をじっと見つめ、低く言った。「君は私をまだ信用していないようだな。それも仕方ない。だが、君たちだけでこの状況を乗り切れると思うか?」


香織は言葉を詰まらせた。その時、ドアの外から何かが擦れる音が聞こえた。


「外に誰かいる……。」涼介が低い声で言った。


署長は素早く銃を取り出し、ドアに耳を当てた。「静かに。何かがおかしい。」


その瞬間、ドアが激しく揺れた。誰かが外からドアをこじ開けようとしているのだ。


「どうする?」涼介が緊張した声で香織に尋ねた。


香織はバッグを握りしめ、答える間もなくドアに向けられた署長の銃口を見つめていた。「……決断するしかない。」


読者選択肢

1.署長と協力して、外の不審者と対峙する準備をする

 - 署長を信じ、協力して不審者に立ち向かう。ただし、戦闘になるリスクが高い。

2.保管室からの脱出を図り、自力で別の場所へ移動する

 - 署長を信じず、自分たちで逃げる道を探す。ただし、脱出中に敵に追いつかれる危険がある。


応援コメントへの選択番号記載依頼


読者の皆様、いよいよクライマックスが迫っています!

香織と涼介は、不審者に迫られる中で署長と協力するか、自分たちで動くかという究極の選択を迫られています。署長を信じるべきか、疑い続けるべきか――その判断は、あなたの手に委ねられています。


コメント欄に「1」または「2」の番号を書いてください!

締切:明日朝7時まで

あなたの選択が、物語の未来を切り開きます。どうか香織たちの運命を導いてください!


三田村香織から読者メッセージ


読者の皆様、ここまで物語を応援してくださり、本当にありがとうございます。

私たちは今、命を賭けた決断を迫られています。このデータを守り抜き、真実を明らかにすることができるのか。それとも、すべてが無に帰してしまうのか――その選択が、私たちの未来を左右します。


どうか、あなたの選択で私たちを導いてください。次回、真実に一歩近づく展開でお会いしましょう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る