第8話 警察署の闇

「わかりました。警察署に向かいます。」

香織が毅然とした声で答えた。涼介が驚いた表情を見せるが、彼女は小声で囁く。

「一度ここを離れる必要があるわ。その上で判断する。」


涼介は少し不満げに眉をひそめながらも頷いた。「わかったよ。ただ、信用しすぎるなよ。」


警官たちは迅速に行動を開始し、香織と涼介をパトカーに乗せた。車が動き出し、暗い高速道路を走り始める。車内の雰囲気は異様なほど静かだった。


「署に着くまでどれくらいですか?」香織が尋ねると、運転席の警官が答えた。

「20分ほどです。それまで安全ですからご安心ください。」


香織はその答えに小さく頷いたが、心の中では警戒心を解いていなかった。助手席の警官は無線機で状況を報告しているが、内容がすべて聞き取れるわけではない。


「涼介、ちょっと話せる?」香織は再び小声で話しかけた。

「どうした?」涼介も声を潜めて返す。

「データは私が持ってるけど、もし何かあったときのためにあなたが別のバックアップを持つべきよ。」


涼介は驚きつつも頷いた。「お前、そんなこと考えてたのか?」

「最悪の場合を想定しておくのは当然よ。」香織はUSBメモリをバッグから取り出し、こっそり涼介の手に渡した。


涼介はその重さを確かめるように握りしめた。「頼むから、これを使う展開にはならないでほしいけどな。」


20分後、パトカーは警察署の駐車場に滑り込んだ。建物は古びた外観だが、夜間の薄暗い照明が不気味さを際立たせている。


「ここでお待ちください。」警官たちは二人を署内の一室に案内した。殺風景な部屋にはテーブルと椅子が二脚だけ。壁には古い時計が掛かり、チクタクと規則的な音を立てている。


「何だこの部屋……まるで尋問室みたいじゃないか。」涼介が皮肉っぽく言うと、香織が冷静に答えた。

「だからこそ、私たちが冷静でいる必要がある。」


少しして、一人の中年警官が部屋に入ってきた。階級章を見ると、それなりの地位にある人物のようだ。


「遅くにすみませんね。」彼は静かな声で言いながら席についた。「話を聞かせてもらいましょう。」


香織は表情を崩さず、簡潔に状況を説明した。「私たちはある企業の内部告発者の証拠を持っています。それを暴露しようとして命を落とした方がいて、その調査を進める中で命を狙われています。」


警官は少しの間黙った後、深く息を吐いた。「なるほど。しかし、ここでその証拠を確認させていただけませんか?」


「それはできません。」香織の声には一切の迷いがなかった。「これを下手に扱えば隠蔽される可能性がある。そのリスクを冒すつもりはありません。」


警官の目が少し鋭くなった。「我々を信用していないということですか?」


「信用していないわけではありません。」香織が丁寧に言葉を選ぶ。「ただ、この情報は慎重に扱うべきです。」


その瞬間、警官の無線が小さく鳴った。彼は立ち上がり、短く応答してから二人に言った。「少し待っていてください。すぐに戻ります。」


警官が部屋を出ると、涼介がすぐに声を潜めて話しかけた。「どう思う?」


「思ったより丁寧だけど、何かがおかしい。」香織は部屋の壁を見渡した。「この部屋に監視カメラがないのも気になる。」


「普通、監視カメラがあってもおかしくないもんな。」涼介が壁を見渡す。「ていうか、何で出て行ったんだ?」


その時――。


ドアの向こうから複数の足音が聞こえてきた。香織は息を呑み、バッグを強く握りしめる。


「涼介、何かが起きる。」


「おい、落ち着けよ……。」涼介が言うが、その声にも焦りが混じっている。


次の瞬間、ドアが勢いよく開き、複数の警官が入ってきた。


「立ち上がってもらおう。」先ほどの中年警官が冷たい声で言う。「我々の署に証拠を持ち込んだ以上、それを我々に引き渡す義務があります。」


「話が違う!」涼介が立ち上がり、怒鳴り返す。「こっちは信用して動いてるんだぞ!」


「信用?」警官は冷たく笑った。「君たちには選択肢はない。データを渡せ。」


香織はバッグをしっかり抱えながら冷静に答えた。「そのような態度では、ますます信用できません。」


「渡さないなら……強制的に動かざるを得ない。」警官が一歩前に進んだ瞬間、部屋の外から別の声が聞こえてきた。


「待て!何をしている!」


現れたのは階級章がさらに上の警察署長らしき人物だった。彼の登場により場の空気が一変する。


署長は部屋に入り、冷たい目で中年警官を睨みつけた。

「これはどういうことだ?私の許可なく動いているのか?」


「署長……これは緊急対応です。」中年警官が冷や汗を浮かべながら答える。


「それは私が判断する。」署長は香織と涼介に視線を向けた。「君たちが持つ証拠について、私も話を聞きたい。しかし、その前に一つ確認させてくれ。」


香織は緊張した面持ちで答える。「何でしょう?」


署長は一瞬ためらい、こう言った。

「私を信用するのか、それとも……?」


読者選択肢

1.署長を信用して証拠を渡す

 - 署長に全てを託し、警察の力を借りる。ただし、署長が本当に味方かどうかは不明。

2.署長を信用せず、データを守り抜いて別の手段を考える

 - 署長を信じず、自分たちだけでデータを持ち帰る道を探す。ただし、さらなる危険が伴う。


応援コメントへの選択番号記載依頼


読者の皆様、物語はついに核心に迫ります!

香織たちは警察署に守られるどころか、証拠を巡り新たな危険に直面しています。この署長を信用するかどうかで、真実への道が大きく変わります。


コメント欄に「1」または「2」の番号を書いてください!

締切:明日朝7時まで

あなたの選択が香織たちの運命を決定します。真実を導く鍵は、あなたの推薦力にかかっています!


読者メッセージ


いつも『港町事件簿:警察署の闇』をお読みいただきありがとうございます!

香織たちが直面するこの究極の選択が、物語の展開を大きく変えます。真実に向けて進むために、あなたの選択をぜひお聞かせください。


次回の物語もどうぞお楽しみに!コメントをお待ちしています!

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